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ワシントン条約 重要課題を討議

2016年01月19日
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©CITES secretariat

【スイス、ジュネーブ発、2016年1月11日】

 1月11日~15日、ワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約:CITES)が保全ツールとして成功するために、重要となる数多くの課題が議論された。

 条約定例の常設委員会の間、野生由来の種(たとえば、皮革やペットとして取引される爬虫類)を飼育繁殖個体であると偽って使われることを防ぐための提案を含む対策が議論される。

 トラフィックは、トッケイヤモリ、ミミナシオオトカゲ、ニシキヘビおよび、鳥類の不正取引を含め、国際取引において合法だと見せかけるために、野生から捕獲された動物が飼育繁殖のものであると不正に申告されている数多くの事例を強調してきた。

 トレーサビリティもまた、常設委員会において重要な課題として議論される。会合では、関連する国内法・国際的な法制度が、トレードチェーンを通し透明性のある方法で遵守されることを保証する、サメ製品等の野生生物製品の追跡が可能となるような制度を検討することとなる。これによって、例えば持続可能な出所と非持続可能な出所から調達された製品の混在を防ぐ。トラフィックは、この課題に関する分析をまとめたところであり、審議の役立つ情報となる。

 他の重要な課題としては、特定の国の法制度において、ワシントン条約の規定が効果的に施行されるための措置である「ワシントン条約国内法プロジェクト(CITES National Legislation Project)」の再検討の提案がある。多くの国の国内法について、すでに重大なギャップや弱点が明らかになっている。すべての国のワシントン条約法制度が目的にかなったものであり、違法で非持続可能な野生生物取引が蔓延する隠れ蓑を提供するような法的抜け穴を許すことのないよう、より強固な制度を作る努力を、トラフィックは支援していく。

 広がりを続ける密猟と、大型哺乳類製品の違法取引は、今回の会合でも多くの議題の焦点となるであろう。

 ゾウに関してトラフィックは、いくつかの国による「ワシントン条約国内象牙行動計画(CITES National Ivory Action Plans)」の施行について、さらなる進展を期待する。関係国が、違法な象牙取引を抑えるための努力において、重大なギャップや弱点に対処するために、具体的、測定可能で期限に定めのある行動を採るようにするためには、この措置は非常に重要である。

 対象国の中には特にタイのように、称賛に値する前進を見せた国もあるものの、この措置が財政的・技術的なリソース不足のために妨げられているのは明らかである。これらは、計画を効果的に施行するにあたり重大な障害となっており、この会合において国際社会が必要性に応えることを期待する。

 前回のワシントン条約締約国会議(CoP16)からの重要な進展のひとつは、最終目的地の市場にいる消費者の行動の変革を通じて、違法な野生生物製品の需要を削減するための課題にますます注目が払われるようになっていることである。例えば、犀角の需要を削減するために、消費国による効果的な需要削減戦略の作成と施行を求める決定が採択された。サイに限らず数多くの種に重要な影響を及ぼす可能性があるこの重要な課題を、常設委員会会期中、各国が確実に最前線に据えて提案することをトラフィックは強く求める。

2016年01月19日
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