
ホーム>野生生物ニュース>ワシントン条約・法律ニュース>マンガで学ぶワシントン条約―野生生物の国際取引を規制する条約を見て、読んで、楽しんで学習できる!―
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【トラフィックイーストアジアジャパン発 2007年6月5日】
このほどトラフィック イーストアジア ジャパンでは、ワシントン条約について、楽しみながら学ぶことの出来るマンガ冊子を完成させました。
個体数が減り、存続が危ぶまれる野生生物を、違法な国際取引から守るべく、取引に対して適切な規制を設ける、もっとも有名な国際条約のひとつであるワシントン条約。成田空港などに、ワシントン条約によって国内への持込が制限されている野生生物や、それからできた製品に関する展示があります。こうして政府や税関も、海外に出かける日本人への普及啓発に努力していますが、なかなか一般の人のあいだで認知度が上がらないのが現実です。
そのため、野生生物とそれに由来する製品の国際取引をモニタリングする団体であるトラフィックでは、だれでも楽しみながら理解できるマンガを作成し、認知度の向上を目指すことにしました。これまでにも、普及啓発のパンフレットは各種作成してきましたが、マンガはこれが初めてです。
ある野生生物が減少するとき、原因としては、生息環境の悪化、違法な捕獲と取引、そしてわたしたちの消費があります。消費者も、野生生物やそれに由来する製品を手にするときには、それが原産国の野生生物の存続を脅かすものでないかどうか気をつける必要があります。無自覚な消費が、原産国での密猟を助長する可能性があることを知っておきたいものです。
ワシントン条約の附属書に掲載された野生生物に関しては、取引に制限があることをもっと世の中の人が理解し、消費を適正な範囲におさえる努力が大切です。附属書Iに掲載されたものは、商業取引が禁止されますが、附属書IIや IIIに掲載されたものに関しては、私たちが「持続可能な消費」をおこなうことで、原産国の野生生物や現地の人々の生活を守ることができます。今、求められているのは、私たちが"賢明な消費者"になることです。
このマンガでは、中国西部のチベット地方に生息するチベットアンテロープ(附属書I掲載)の密猟と、それから出来るシャトゥーシュという高級ショールの消費の問題に焦点を当てています。国際取引が禁止されているチベットアンテロープがなぜ密猟され、なぜ日本人はそれと知らずに購入してしまうのか、親しみやすいマンガを通して学習します。
このマンガ冊子は、丸紅株式会社の資金協力を得て、25,000部作成しました。海外に旅行や出張で出かけ、おみやげを買って帰ってくる機会の多い若い人たちを読者に想定していますが、学校でのテキストとしても利用できると考えています。入手希望の方は、トラフィックのホームページをご覧下さい。http://www.trafficj.org/comic.htm 入手方法の案内が掲載されています(返送用封筒と送料分の切手が必要)。冊子自体は無料です。
なお、オランダのハーグでは3日~15日まで、ワシントン条約(CITES)締約国会議CoP14が開催中です。トラフィックでは、新たな附属書掲載種の提案をおこなったり、法律の執行体制強化の問題などを加盟各国に働きかけています。
■本件に関するお問合せ:トラフィック イーストアジア ジャパン 石原明子・金成かほる tel. 03-3769-1716/広報担当 大倉寿之(WWFジャパン兼務)
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