
![]() cKevin Schafer / WWF-Canon |
【タイ、ホアヒン】
アジア各国政府は、2010年1月27日~30日にタイのリゾート地ホアヒンで開催された第一回トラ保護のためのアジア閣僚会議(the
1st Asia Ministerial Conference on Tiger
Conservation)において、野生のトラを絶滅から救うため新たな取り組みを早急に開始するという力強いメッセージを発し、また危機的状況にある野生のトラの生息地を全面的に保護するよう呼びかけた。
トラが生息している13ヵ国(バングラデシュ、ブータン、カンボジア、中国、インド、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、ネパール、ロシア、タイ、ベトナム)の大臣や上級代表は2022年までに野生のトラの数を倍増させるための対策を講じることを約束した。
会議終了後には、野生のトラを保護し、トラの生息地の定期的な巡回によりトラを密猟から守り、トラとその部分の国内および国境間の取引を廃止することに加え、野生のトラの生息地およびその周辺の地域に住む人々を支援し、人間とトラとの衝突を最小限にすることなどが宣言された。
また、会議の参加国は、資金面や新たな保護の取り組みに対して、国際機関からの支援を要請した。
世界銀行グループ総裁のロバート・B・ゼーリック氏は、同会議の参加者に向けたビデオメッセージの中で「世界銀行は、トラの生息国における地域プロジェクトを支援するだけでなく、ドナー・コミュニティを動員し、トラを保護するための基金を支援するための革新的な金融商品を開発する準備ができている」と述べた。
会議を主催したタイ王国政府は、タイに存在するトラの生息地を巡回する回数の増加、隣国でのトラの個体数回復に対する支援、ASEAN野生生物執行ネットワーク(ASEAN-WEN)に対するより安定した資金確保などを行う計画を発表した。
WWFのトラ保護プログラム(Tiger Initiative)のリーダーであるマイケル・バルツァーは次のように述べた。「トラの生息国が2022年までに野生のトラの数を倍増させるために一致協力することを誓ったことに代表されるような希望の光を見ることができることを、われわれは嬉しく思っている。
現在、野生には約3000~5000頭のトラが残されているが、100年前にはその数は10万頭であった。
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