▲最近続いている大規模な象牙の押収事件は、アフリカの原産国とアジアの象牙を利用する市場とを繋ぐ、組織化された犯罪シンジケートが増えている事を示唆している。 ©Joyce Wu/TRAFFIC |
【英国、ケンブリッジ発 2009年11月9日】
ゾウ取引情報システム(ETIS)にある違法ゾウ製品押収記録の最新の分析から、2004年から増え続けている象牙の違法取引が2009年に急激な上昇を見せたことがわかった。
トラフィックが運用しているゾウ取引情報システム(ETIS)は、ワシントン条約の下にある2つの監視システムのひとつで、押収されたゾウ製品について世界最大の記録量のデータが収蔵されている。
第15回ワシントン条約締約国会議(CoP15)を前におこなわれたこの分析は、1989年以降に85の国や領土から集められてきた、14,364件ものゾウ製品の押収記録にもとづいておこなわれた。今回は、2007年度の分析に使われたものより2,000件ほど多い。
2009年の驚くべき増加は、一連の大規模な象牙押収事件を反映しており、アフリカの原産国とアジアの象牙を利用する末端消費市場とを繋ぐ、組織化された犯罪シンジケートの関与が増えていることを示している。
アジア、アフリカの大規模な国内象牙市場と、法執行の弱さとの高度な相関関係は続いており、通常、違法象牙取引の流れは、法執行が弱く、規制という障害が機能していない市場へ流れる傾向にあることが示唆される。
こうしたアフリカやアジアの規制されていない違法な国内市場を止めさせるためにワシントン条約の主要な手段である条約の「アフリカゾウの象牙の取引管理のための行動計画」がある。象牙違法取引の増加は、この行動計画の施行がこの5年で著しい変化を起こせなかったことを示している。
ETISの分析は、世界的な象牙違法取引にもっとも深く関係している3国としてナイジェリア、コンゴ民主共和国、タイを特定した。これらの国を含む違法取引は、2002年の最初の査定以来、幾度ももっとも注目すべき国として指摘され続けてきたが、今もなお、象牙の違法取引にとって、供給源や、中継地、消費地として重要なホットスポットとして特徴づけられている。
他にも、9つの国や領土(アフリカのカメルーン、ガボン、モザンビークと、アジアの香港特別行政区、マレーシア、フィリピン、台湾、ベトナム)が象牙違法取引における重要な中心地だと特定された。
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| ▲最新のETISのデータをみると、2004年から着実に増加していた違法象牙取引が2009年に急激に増加している。© TRAFFIC |
日本と共に、2008年に合法で、ワシントン条約にも承認された、一回限り(one-off)の象牙販売先であった中国は、現在アフリカに拠点を置く中国国籍の者による根強い違法取引の試みに直面している。今なお続く証拠は、海外在住の中国人が象牙の違法な調達に広く関わっている事を浮き彫りにしている。この問題は、海外に住む中国人社会に対して、積極的な普及啓発活動を通じて取り組む必要があることを示している。
この結果からは、1999年と2008年にワシントン条約が認めた一回限りの象牙販売に関係があるかはっきりとしたことはわからない。
1999年6月に最初におこなわれた一回限りの販売の後5年間は、違法取引の低下が見られ、この販売による世界的なゾウ製品の違法取引の増加を示唆する証拠は見られなかった。
2008年後半におこなわれた、ワシントン条約が承認した2度目の象牙販売の後、需要の増加を刺激したのか、過去4年に既に増加の傾向にあった供給とたまたま時期が合ったのかははっきりしない。期間を延ばしてよりデータを収集することで、この極めて重大な問題に更なる光を当てることが出来るだろう。
ETISのレポート(E15-44.01A)はワシントン条約のウエブサイトからダウンロードできる(ワシントン条約事務局のサイト)
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