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第15回ワシントン条約締約国会議に向けて:大きな驚きはないが、議論を呼ぶであろう附属書改正提案

2009年10月29日
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シュモクザメ類3種の附属書 II 掲載が提案されている。写真はシロシュモクザメ Sphyrna zygaena © Cat Holloway / WWF-Canon
シュモクザメ類3種の附属書 II 掲載が提案されている。写真はシロシュモクザメ Sphyrna zygaena 
© Cat Holloway / WWF-Canon

【スイス、グラン発 2009年10月26日】
 ワシントン条約事務局は、本日ワシントン条約の取引のルールを変更する41の附属書改正案のリストを公表した。これら改正提案は来年3月にカタールでおこなわれる締約国会議で、政策や施行といった様々な議題とともに議論される。

 ワシントン条約の締約国会議は3年ごとに開催され、附属書の改正を通じて取引ルールを変更する。附属書の改正は影響を受けている種にとっては、大きな保護の意味をもつことになる。ある種を附属書 I に掲載すれば、あらゆる商業的な国際取引を阻止することになるし、附属書 II へ掲載することによって、特別の許可条件の下で取引されることになる。

 第15回会議に向けた附属書改正提案は、アフリカゾウのようにワシントン条約の議論ではおなじみの種をはじめ、2008年にオランダのハーグで開催された前回会議で否決された種や数々の新しい問題が加盟国によって話し合われる。

 論議を呼ぶことが間違いないのは、ケニアによる提案で、数ヵ国の他のアフリカ諸国によって支持されていて、少なくとも2028年より前に、他の国がさらなる合法的な象牙販売についてワシントン条約の承認を得ようとするのを阻止することを期待するものだ。同じ提案ではまた、現在認められているナミビア、ジンバブエからの観光客による象牙彫刻品の合法的な輸出にも終止符を打つことも目的としている。

 この提案と対立するのは、政府所有の象牙在庫の一回限りの販売(one-off sale)を可能にするためにアフリカゾウを附属書 I から附属書 II に移行するザンビアやタンザニアの提案である。

 「ケニア主導の提案とタンザニア・ザンビアの提案の相容れない目的が緊張状態や大きな分裂を生み出すことは必至である」とトラフィックインターナショナルの事務局長スティーブン・ブロードは言う。「私達は、満足のいく解決策が見出され、それが保護に対する最善の利益となり、違法な国内象牙市場の管理の欠如といったゾウの密猟から生じる主要な問題から議論が逸れないことを希望する。」

 また、議論を呼びそうなものとしては、数種の海産種を附属書に掲載する提案がある。

 そのトップにあげられるのが、大西洋クロマグロAtlantic Bluefin Tunaを附属書 I に掲載する提案で、さらなる商業取引を禁止するものだ。この問題は、すでに欧州連合の中でも議論を呼んでおり、フランスのニコラス・サルコジ大統領が商業取引禁止を公に発表した。しかしフランス政府は、欧州連合加盟国が、モナコの提案した禁止を支持するために必要な大多数の票に達することができなかった非公開の投票では、それに反対した。

 サメもまた物議を醸すだろう。前回会議では、ニシネズミザメLamna nasus とアブラツノザメSqualus acanthias を附属書に掲載する提案は水産業界の強固なロビー活動や、どんな状況の場合にワシントン条約が海産種の取引を規制する役割を果たすべきかを決める基準についてワシントン条約とFAOとの深い分裂があったことで、ぎりぎりのところで退けられた。両種は再度、附属書 II 掲載が提案された。米国はまたさらに、3種のシュモクザメ類の附属書 II への掲載を含め、6種のサメ類について附属書への掲載を提案している。

 「私達は、これらの提案に対する議論が、保護と国際的な漁業管理の観点から、関連の重大な問題にフォーカスされることだけを期待する」とブロードは言う。

 「ワシントン条約は、海洋資源の商業的な輸入に関しては、国内および国際レベルでの、他の保護・管理策を補う重要な役割を持っている。」

 「2007年にアブラツノザメやニシネズミザメを附属書へ掲載し損ねたことは特に残念な出来事であった。しかし今回保護の議論が制度上の駆け引きに優先され、条約締約国が言い回しの問題を手早く済ませ、もし今行動に移さなければこうした水産業の未来が直面するであろう厳しい現実に向き合ってくれることを願う。」

 似たような状況のものとして、主に宝飾品に使われるサンゴがある。これらについても、2007年6月に最初は附属書 II への掲載が認められたものの、総会においてぎりぎりのところで決定が覆された。

 爬虫類や両生類に関連した附属書改正提案としては、保護状況の改善を反映し、ナイルワニ Crocodylus niloticus の特定の個体群を附属書 II にダウンリスティングするものがあり、一方、取引の状況が懸念されるカイザーツエイモリNeurergus kaiseri を附属書 II に掲載する提案がある。またニシキトゲオアガマUromastyx ornata についてはイスラエルが商業的な国際取引に終止符を打つべく附属書 I への掲載を提案している。

 植物に関する提案の大部分は、マダガスカルの種であり、附属書 II への掲載が提案されている。

 ブラジルはまた、Rosewood tree Aniba rosaeodora を附属書 II に掲載することを提案している。この種は、ローズウッド油を抽出するために過剰に採取され深刻な状態にある。

 トラフィックやプログラムパートナーであるIUCNはこの提案それぞれについて完全分析をおこない、これら提案が生物学的および他の適切な基準に見合ったものかどうかを調べる。この分析に基づき、トラフィックはワシントン条約締約国会議の附属書改正提案に対する見解を準備し、会議に先立ち利用できるようにする。

 今回のワシントン条約締約国会議は、中東でおこなわれる初の会議であり、会議の追加的な結果として、中東での地域的な執行協力を強化する必要性について大きな注目が集まることをトラフィックは期待している。

 附属書改正提案だけが条約会議での議題ではない。トラ、ゾウ、サイ、メガネモチノウオに関して、会議に先駆けて提出された文書に基づいた重要な議題もまた議論される。

 

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■詳細に関するお問い合わせ

Richard Thomas, TRAFFIC International, tel: +44 (0) 1223 279068, e-mail: richard.thomas@traffic.org

■参考情報

第15回ワシントン条約締約国会議の附属書改正提案のリストは、ワシントン条約事務局のウエブサイトをごらんください。(英語) http://www.cites.org/eng/cop/15/raw_props.shtml


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