
![]() 警察の専門家が今年3番目のハノイでのトラの押収事件を調べている。 © Tran Quang Cuong / Hanoi Environmental Police | |
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【ベトナム、ハノイ発 2009年7月17日】
ハノイのEnvironmental Policeが、タインホア県 からハノイまでタクシーで運ばれていた冷凍されたトラと11kg以上のトラの骨を押収た。
Tran Quang CuongとリーダーとするハノイのEnvironmental Policeは、7月16日の朝6時にハノイのドン・ダ地区(Dong Da District)のホアンカウ・スタジアムで停車した怪しいタクシーを止めた。そして車の捜索で、警察官は車のトランクに何層にも毛布をまきつけた冷凍したトラとトラの脚の骨11kgを発見した。タクシーにはそのトラの所有者であるという男性を含む3人が乗っていた。
ベトナムのワシントン条約の科学当局であるInstitute of Ecology and Biological Resources (IEBR)の専門家Dang Tat The博士は、その動物と骨をトラだと鑑定し、そのトラが体重57kgでおそらく最近殺されたばかりの若い個体であり、骨は少なくとも2頭の成体から採られたものであると推測した。
Environmental Policeは、トラはベトナムの中央部から運ばれてきたものだと考えているが、トラがベトナムで獲られたのか、また野生のものか飼育繁殖されたものかは現在のところわかっていない。
「警察の捜査を完結させるには、これらのトラがどこから来たのかを確かめる手助けとなるDNA鑑定を実施するよう当局に求める」とトラフィックのハノイの事務所にいるシニアプロジェクトオフィサーのNguyen Dao Ngoc Vanは言う。
「トラやトラの部分の取引が続いていることは非常に心配である一方、Environemental Policeのこうした取引を取り締まる働きは心強いことだし、素晴らしい」とVanは言う。
「Environmental Policeはほんの最近結成されたのだが、現行の野生生物取引の法についてベトナムの法執行能力を素早く向上させている」と彼女は付け加える。
他にもハノイで今年トラの押収が2度あった。ひとつは1月で、ハノイのドン・ダ地区の店から2 t 以上の野生生物製品が押収されたが、ここに6枚のトラの皮が含まれていた。また2月には、ドン・ダでまた冷凍したトラの部分23kgが押収された。
「これらの押収は、アジアに残された野生のトラへの脅威がいかに深刻かを示している。」
野生に残されたトラは4000頭未満で、ベトナムに残された推定個体数は約50頭だと考えられている。現存する6亜種すべてがIUCNのレッドリストで絶滅危惧種(EN)または近絶滅種(CR)に分類されている。密猟は野生のトラの存続にとってもっとも大きな脅威である。
トラはワシントン条約の附属書Iに掲載されており、トラやトラの部分のいかなる国際商業取引は厳格に禁じられている。しかしベトナムはワシントン条約の締約国であり、トラの国内取引すべてを禁止しているにもかかわらず、伝統薬での骨の利用や、強壮作用やステータスシンボルとしての肉の消費や、トロフィーや装飾目的のための皮の利用のために、トラの取引は続いている。
今回の押収は、世界銀行がトラの飼育繁殖場でのいかなる実験も危険が大きすぎるし、野生のトラをさらに絶滅に推し進めうると考える、と公表したすぐ1週間後に起きた。
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■詳細に関するお問い合わせ
Lisa Kelley, Communications Officer, TRAFFIC Greater Mekong Programme Tel. +84 3 4 719 3116
Nguyen Dao Ngoc Van, Senior Projects Officer for TRAFFIC Greater Mekong Programme (in Viet Nam) tel: +84 04 3 719 3116, E-mail: nvan@traffic.netnam.vn
Richard Thomas, Communications Co-ordinator, TRAFFIC. Tel: +44 1223 279068, mob + 44 752 6646 216. E-mail richard.thomas@traffic.org
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