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ドミニカ共和国ではタイマイはもはや、みやげ物にならない

2009年08月13日
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最近、ドミニカ共和国当局によって差し押さえられた違法なタイマイ製品。政府主導の取り締まりによって、そうした観光客向けのおみやげの存在が99%減少した。
© Adrian Reuter / TRAFFIC North America 最近、ドミニカ共和国当局によって差し押さえられた違法なタイマイ製品。政府主導の取り締まりによって、そうした観光客向けのおみやげの存在が99%減少した。
© Adrian Reuter / TRAFFIC North America
 

【グラン、スイス/米国、ワシントン発 2009年3月25日】
 IUCNのレッドリストで近絶滅種とされるタイマイEretmochelys imbricataは、タイマイ製品を違法に取り扱っているお店に対する政府の強力な取り締まりキャンペーンがおこなわれた後、ドミニカ共和国において観光客用のそうしたおみやげ品の販売はなくなった。

 トラフィックによっておこなわれた2006年の調査では、タイマイから作られた23,000個の製品が売られていたのがわかった。そして今年2月に再度同じ場所を訪れ、甲らの製品がわずか135個に劇的に減少していたことが明らかになった。

 この成功は、2008年11月に始まった広範囲にわたる政府主導の活動のおかげである。ドミニカ共和国は、これらのウミガメ類を取引する店にウシの角または骨のような代替品の取引を勧めていた。

 「明らかに違法な、タイマイの甲らでてきたみやげ物取引をほとんど排除した、ドミニカ共和国政府の断固とした行動を温かく祝福する」とメキシコのトラフィック代表エイドリアン・ロイターは言う。

 「これは、野生生物にも、特に観光に頼っている地元の人々にも利益を与える解決法があることを示す、この地域にとって重要な保護事例として位置づけられる。」

▲映像は2006年にドミニカ共和国で撮影されたものである。政府の取り締まり前にどのくらいの規模で違法なウミガメ製品のみやげ物が売られていたかを明らかにしている。


  タイマイは、ドミニカ共和国の海岸に産卵する3種のウミガメ類のうちの一種である。過去一世紀において何百万頭も、ヨーロッパや米国、アジアの甲らの市場向けに殺されてきた。今日、タイマイは甲らを主に目的とする密漁者の犠牲になってきた。こうした甲らは、主に北米やヨーロッパからこの国を訪れる何百万人もの観光客向けのみやげ物として売られる。

 タイマイはIUCNのレッドリストでは近絶滅種(CR)として分類され、世界的にみても極度に高い絶滅の危険性に直面している。他のウミガメ類と同様、ワシントン条約の附属書 I に掲載され、国際取引は禁じられている。

 絶滅のおそれのある世界中のウミガメ類について、わたしたちはそれらの種を守るためいかなる努力も最大限におこなう必要がある。特に、ウミガメは死んでいるより生きていてこそ観光客を魅了する、比較できない価値を持っているからである」とラテンアメリカとカリブ海のウミガメ保護のWWF地域コーディネーターのカルロス・デューは言う。

 「ドミニカ共和国からのよい知らせは、仲間となる国々に対して違法取引を減らしていくことができることを示した。」

 

注:

  • 2月の市場調査はCentral American-Dominican Republic-United States Free Trade Agreement (CAFTA-DR) との共同枠組のもと、おこなわれた。
  • 世界中で180ヵ国の沿岸水域に生息し、産卵頭数 (nesting female) は推定8,000頭だという。本種は、違法なカメの甲らの取引、卵の採取、食肉としての捕殺、近年は気候変動によって存続が脅かされている。

**************************************************

■詳細に関するお問い合わせ

Trishna Gurung: Senior Communications Officer, Species, WWF, +1 202 203 8863, email: trishna.gurung@wwfus.org

Sarah Janicke: Species Communications Manager, WWF, tel: +41 79 528 8641, email: sjanicke@wwfint.org

Richard Thomas: Global Communications Co-ordinator, TRAFFIC, tel: +44 1223 279068, email: richard.thomas@traffic.org


2009年08月13日
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