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インド:金属探知機がトラの罠を探し出す

2009年03月27日
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バンダウガル(Bandhavgarh)の森林保護官が、仕掛けられたトラの罠を探すために金属探知機を使う訓練を受けているところ。© Samir Sinha / TRAFFIC India

バンダウガル(Bandhavgarh)の森林保護官が、仕掛けられたトラの罠を探すために金属探知機を使う訓練を受けているところ。© Samir Sinha / TRAFFIC India

【インド、ニューデリー発 2009年3月19日】
 トラフィックのインドプログラムは、国立トラ保護当局(The National Tiger Conservation Authority (NTCA))と協力して、トラやその他の動物を捕獲するために仕掛けられている罠の場所を特定するため新たな手法を使っている。

 「金属の罠はトラや他のネコ類を捕まえるためによく使われている。しかし罠は巧妙にカモフラージュされているため見つけるのはほとんど不可能である」とトラフィックインドの事務局長のサミール・シンハは言う。

 「しかし金属探知機を使えば、森林保護官は、もっとも巧妙に隠されている罠でさえ探し出すことができる」と彼は説明する。

 金属探知機は、野外でのオペレーションを推進するのに理想的である。なぜならとても丈夫で、組み立てるのも使うのも簡単で、複雑なメンテナンスや操作は必要ないからである。

 探知機はまた、罠にかかった動物が銃によって傷つけられているかを調べるため、動物の死後の検査の時にも使うことができる。これが、法的な検証を補強する手助けとなり、密猟に対するさらに効果的な訴追につながるはずだ。

 トラフィックインドは探知機の使い方について本格的な訓練を提供している。また野外で活動するスタッフの助けとなるよう英語とヒンズー語で書かれた手持ちのマニュアルも開発した。

 「訓練生からのフィードバックは、とても前向きで彼らはこの装置を使うことにたくさんのメリットを感じている」とシンハは言う。

 政府高官もまた熱心で、どのように探知機を入手することができるのかトラフィックに連絡をしてくる人もいる。

 密猟者は、自分たちの試みを止める新しい技術が実施されていことがわかるというそれだけの理由で、金属探知機の使用は長期的に見れば抑止効果を持つようだ。

 トラフィックインドの金属探知プログラムは、WWFイギリスとWWFドイツによる惜しみない支援を受けておこなわれており、保護区としてよく知られているコルベット、ランタンボール(Ranthambore)、カーナ(Kanha)、ペンチ(Pench)、シムリパル(Simlipal)、バンダウガル(Bandhavgarh)とラジャジ(Rajaji)などを含むインド全域のトラの生息地に送られている。

 シンハによれば、2つの探知機とその使い方に関する訓練をおこなうコストを合わせると、それぞれの保護区に対して80,000ルピー(日本円で約15万4,000円程度)のコストがかかるが、インドのトラの保護を手助けするために支払われる新しい技術に対するコストとしてはわずかである。

 


■■ただ今、WWFジャパンのパンダショップでは、この活動を支援する「手塚治虫 x WWF コラボレーション企画」としてSave The Tigers In The Wild 野生のトラを守ろう!Tシャツを販売しています。(WWFジャパンのパンダショップのサイトへ) btn_migi.gif

2009年03月27日
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