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インドネシアの違法なペット取引が淡水ガメ・リクガメを脅かす

2008年01月31日
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080108Malayemyssubtrijuga.jpg ニシクイガメ Malayemys subtrijugaのインドネシアの年間割当頭数は2,500頭。この90%が輸出される。©Chris R Shepherd / TRAFFIC

【マレーシア、クアラルンプール発 2008年1月8日】

 東南アジアでの外国産の淡水ガメ・リクガメに対する需要の増大が、インドネシアのペット市場における違法取引を加速していると、トラフィックは新しいレポート『An Overview of The Regulation of The Freshwater Turtle and Tortoise Pet Trade in Jakarta, Indonesia』で発表した。

 トラフィックの調査員が、ジャカルタでペット市場の調査をおこなった。そこでは48種の淡水ガメ・リクガメが売られていたが、それらの大部分は違法に入手されたものであった。その中には、インドネシアで完全に保護されている淡水のガメの6種がすべてや、インドネシア以外を原産とするワシントン条約の附属書 I(商業的な国際取引が禁止されている)掲載種の5種が含まれていた。

 トラフィックは、ワシントン条約掲載種は非掲載種より高価だが、入手がより難しいということはないということを確認した。

 「保護対象種が公然と取引されていることは、法執行努力の不足と法律の無視を意味する」とトラフィックサウスイーストアジアのシニアプログラムオフィサーで、この新しいレポートの第一著者であるクリス・R.・シェファードは言う。このレポートはインドネシアのジャカルタの淡水ガメ・リクガメのペット市場における規制の全容を総括している。

 野生生物犯罪に加担している個人がしばしば組織化されている、という場合には、ワシントン条約の執行と、国内での規制は、困難をともなうのであるが、インドネシアでは、淡水ガメ・リクガメがごく簡単に密輸入、輸出されることを業者らはトラフィックに対して認めている。

 「トラフィックは、野生生物犯罪へ対抗することに高い優先順位を与え、それに関係する犯罪を取り締まるためのできる限りの努力がおこなわれるよう、インドネシア政府に働きかける」とクリス・シェファードは言う。

  シェファードはさらに、違法な出所の動物を買う人々も野生個体数の減少に加担していることを充分に認識すべきである、と言う。

 インドネシアでは淡水ガメ・リクガメの多くが、野生個体群への影響について究明する科学的な調査なしに捕獲されている。

 レポートでは、インドネシア当局は、科学的に根拠のある捕獲割当を決め、施行できるようになるまでは、淡水ガメ・リクガメの取引を減らすか、やめるべきであると提言している。

レポート全文のダウンロードはこちらから(英語)An Overview of The Regulation of The Freshwater Turtle and Tortoise Pet Trade in Jakarta, Indonesia


■詳細に関するお問い合わせ

Chris R. Shepherd, Senior Programme Officer for TRAFFIC Southeast Asia (in Malaysia) tel: +603 78803940, email: cstsea@po.jaring.my

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