
![]() ©Martin Harvey / WWF-Canon |
【オランダ、ハーグ発 2007年6月14日】
アフリカゾウの生息地域となっているアフリカの国々が一緒になって、象牙に関する18年間の膠着状態を打破することとなった。これは大きな意義のある動きであったと、WWFとトラフィックは称賛している。ワシントン条約会議にさきがけ、アフリカの国々の間で様々な分裂があった。
ザンビアとチャドが、アフリカゾウの生息国の代表として妥協案の文書を提出した。それには、2007年1月31日までに登録されたボツワナ、南アフリカ、ナミビア、ジンバブエからの在庫を、象牙の「一回限りの売買」に加えることについて詳しく述べられている。
文書はまた、認められた「一回限りの売買」が実行された後に、すべての象牙取引を9年間一時停止することを求めている。
「この合意は、象牙の歴史の中でのひとつの節目である」とWWF野生生物種保護プログラムのスーザン・リーバーマン博士は言う。「対立した派閥が、この議論を前に進めるために声をそろえて発言するのは、20年以上の間ではじめてのことだ。しかし残念ながら、会議の中で、密猟や違法な国内象牙市場といった、野生のゾウに対する深刻な脅威を効果的に討議する時間はなかった。」
象牙の「一回限りの売買」や、象牙取引の一時停止をめぐる論争にかかわらず、トラフィックとWWFによれば、現実の実質的な問題はアフリカとアジアにおける違法な国内象牙市場である。
ETIS(=Elephant Trade Information System(ゾウ取引情報システム))の分析から、違法象牙について問題とされる主要な国々が明らかになった。それは、コンゴ民主共和国、ナイジェリア、タイ、中国である。
「わたしたちは現場での真の保護の成果を期待しています。各国が、誠意の精神にのっとり、西・中央アフリカから違法に流れ出る象牙に取り組むことができるようにしよう」と、トラフィックサウスイーストアフリカのディレクターであるトム・ミリケンは言う。
唯一の輸入国である日本として
「日本は今のところ、象牙を合法的に輸入できる唯一の国である。日本の象牙の取引管理は世界の注目を集めており期待されている。違法なものを排除するシステムがきちんと作動していることを示す必要がある」と、トラフィックイーストアジアジャパン代表の石原明子は述べている。
◆ 詳細に関するお問い合わせ
Richard Thomas, Communications Coordinator at TRAFFIC International, tel +31 634163625 richard.thomas@trafficint.org
Joanna Benn, Communications Manager, WWF Global Species Programme, tel +31 634 163140 jbenn@wwfspecies.org
Olivier van Bogaert, WWF International's Press Office, tel +41 794773572 ovanbogaert@wwfint.org
TRAFFIC East Asia-Japan, tel : 03-3769-1716
関連ニュース
【セミナー開催報告】ペット取引される爬虫類
-上野動物園×WWF・トラフィクセミナー-
2017年09月25日
2017年9月9日、トラフィックは、上野動物園にて「ペット取引される爬虫類」についてのセミナーを開催しました。生息地の開発や、ペットにするための捕獲、密輸により、絶滅の危機に瀕しているカメやトカゲなどの爬虫類。これらの動物は、密輸される途中で保護されても、多くは生息地に帰ることができません。なぜでしょうか?こうした日本のペットショップで販売される爬虫類の取引の現状と問題について、専門家が解説。参加者の疑問に答えました。
©トラフィック
国内での象牙取引で違法事例再び
古物商ら12人が書類送検されるも不起訴に
2017年08月30日
2017年8月25日に象牙9本を違法に取引した容疑で、東京都内の古物商と従業員、その顧客ら12人が書類送検されるという事件が報道された。これは、6月20日に同じく18本の象牙を違法に取引した業者が書類送検された事件に続き、2017年で2件目の摘発となる。さらに29日には、不起訴処分となったことが明らかになった。世界では、ゾウの密猟と象牙の違法取引に歯止めをかけるため関係国が抜本的な対策に着手する中、日本国内で相次ぐ違法な象牙の取引。国内市場管理の問題点があらためて浮き彫りになっている。
©Martin Harvey / WWF
【セミナー開催のご案内】上野動物園×WWF・トラフィックセミナー
-ペット取引される爬虫類-
2017年08月23日
2017年9月9日、トラフィックは、上野動物園にて「ペット取引される爬虫類」についてのセミナーを開催します。動物園で飼育されている爬虫類の生態やペット人気の陰で絶滅の危機に瀕している種を守るための取り組みと、日本のペットショップで販売されている爬虫類の取引を巡る課題などを専門家が分かりやくお話しします。
© Michel Terrettaz / WWF
2017年08月08日
2017年8月8日、トラフィックは、日本の主要eコマースサイトでの象牙取引を調査した報告書を発表した。調査の結果、オンライン店舗のほか、ネットオークションや個人向けフリマサイトでも活発な取引が行なわれる中、現状の規制に大きな課題があることが明らかになった。今回の調査で、これまで不明瞭だった、特にインターネットを通じた象牙取引の一端が明らかになったことから、日本政府にはあらためて、違法取引を許さない包括的な規制措置を求めていく。
©Martin Harvey / WWF
関連出版物
発効:トラフィック【2017年8月】 著者:北出智美【日本語】Briefing Paper
Chi Initiative BRIEFING PAPER World Rhino Day 2017
発行:Chi Initiative【2017年9月】 著者:TRAFFIC【英語】24pp