
![]() ©WWF-Canon Martin Harvey |
【オランダ ハーグ発 2007年6月2日】
2007年6月3日に公式に開会するワシントン条約締約国会議に先がけ、限定的な象牙の売買が常設委員会によって認められた。
いわゆる「一回限りの象牙の販売」は、2002年におこなわれた前々回のワシントン条約会議で、ボツワナ、ナミビア、南アフリカに対して条件付きで認められた。しかし、いくつかの基準が満たされるまで、進めることができなかった。
ワシントン条約の常設委員会は6月2日に、日本は輸入国としての必要条件を満たしていると結論を出した。また委員会は、ゾウの密猟を監視する科学的なシステムが十分なデータを提供してきたことを承認した。
「私たちは、日本が必要条件を満たしていることに同意したが、象牙の売買はしっかりと監視されるべきだと警告しています。これは、潜在的にある問題や傾向の早期発見を確実にするため、日本のシステムにより、象牙の取引がどのようにおこなわれているかについての、ワシントン条約締約国への年次報告を含みます。」とWWF野生生物種保護プログラムのディレクターであるスーザン・リーバーマン博士は言う。
ボツワナ、ナミビア、南アフリカは、販売により得た収益を、ゾウ保護と地域発展のためのプログラムだけに使うこととし、またワシントン条約からもそのように求められている。
象牙の「一回限りの販売」とは、指定された在庫の象牙を一度に競売にかけ、ワシントン条約で認められた象牙輸入国に輸出するものである。再輸出は認められず、輸入国は厳しい管理の施行を求められる。象牙は、登録された、政府所有の在庫、自然死したゾウ、あるいは有害獣に由来するものとなる。
中国も同様に、象牙の輸入の許可を得ることを求め、投票がおこなわれた。委員会のメンバーは賛成6、反対6に票を投じ、同数で否決された。中国は今後の会議で再び手を挙げることになるだろう。
「2006年12月から2007年の1月まで、トラフィックは7つの中国の都市で市場調査をおこなった。いくつかの改善は見られたものの、中国国内で取引の回復と、かなりの量の違法な象牙が存在する可能性を示す明らかな兆候があった」と、トラフィックネットワーク事務局長のスティーブン・ブロードはいう。
WWFとトラフィックによると、アフリカにおける違法な象牙取引の問題は、多くが西・中央アフリカからの象牙に起因している。
WWFとトラフィックは、2004年におこなわれた前回のワシントン条約会議で合意されたアフリカゾウの計画が、効力を発揮することを望んでいる。その計画は、象牙の国内市場があるすべてのアフリカの国が、厳しい取引の管理をおこなう、あるいはすべてを閉鎖することを要求している。この行動計画の施行は、エチオピアを例外として、期待はずれなもので、ほとんど影響を与えなかった。
WWFとトラフィックによると、密猟や象牙の違法取引がおこなわれる真の要因は、規制されていない国内象牙市場であると考える。
Richard Thomas,
Communications Coordinator at TRAFFIC International,
t +31 634163625 richard.thomas@trafficint.org
Joanna Benn,
Communications Manager, WWF Global Species Programme,
t +31 634 163140 jbenn@wwfspecies.org
Olivier van Bogaert,
WWF International's Press Office,
t +41 794773572 ovanbogaert@wwfint.org
** 注釈 **
1989年に、すべてのアフリカゾウの個体群はワシントン条約(CITES)の附属書Ⅰに掲載され、ゾウ製品の国際商業取引が世界的に禁止された(アジアゾウは既にワシントン条約附属書Ⅰに掲載されていた)。その後、ボツワナ、ナミビア、ジンバブエ、南アフリカの個体群が、規制のもとで取引を認める附属書 Ⅱに移行された。さらにその後、締約国は、国の個体群が附属書Ⅱに掲載されている4つの南部アフリカの国々(南アフリカ、ナミビア、ボツワナ、ジンバブエ)からの限定的な、条件つき一回限りの象牙の売買を2度認めている。
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