アンゴラのベニファで販売されている磨かれたアフリカゾウの未加工象牙©Alistair Pole |
【スイス、グランおよび英国、ケンブリッジ発 2006年4月6日】
アンゴラにおける内戦終結から4年が経過した。トラフィックイーストサザンアフリカによれば、この12ヵ月から18ヵ月にわたる違法な象牙取引は倍となり、同国のアフリカゾウの悲惨な境遇は悪化している。
トラフィックのレポート『No Peace for Elephants: Unregulated Domestic Ivory Markets in Angora and Mozambique(アンゴラとモザンビークの規制のない国内象牙市場)』は、アンゴラの首都ルアンダにおける美術品市場に初めて目を向け、国内市場で入手可能なの象牙の量が増大していることを明らかにした。
2005年6月の調査では、1.5 t を超える加工した象牙製品(少なく見積もっても300頭分のアフリカゾウの象牙が必要)がみられた。
「象牙取引のビジネスが好況で、政府が目をそらしている間に、違法な象牙取引は拡大している」と、このレポートの著者のひとり、トラフィックイーストサザンアフリカ事務局長のトム・ミリケンは言う。「国内市場に出回る象牙は、すべて不正な出所からきたもので、アフリカゾウにとっては依然として内戦が続いているようなものだ。」
アンゴラのルアンダで売られていた大型の象牙製品©Alistair Pole |
アフリカゾウの野生個体群がいまだ生息している37ヵ国のうち、アンゴラは唯一ワシントン条約に加盟していない国である。アンゴラは、サハラ以南の国でただひとつ、絶滅のおそれのある野生動植物の取引を規制するもっとも重要な手段であるワシントン条約の外にいるのだ。
「われわれが心配しているのは、アフリカの規制のない国内象牙市場が、年間12,000頭におよぶゾウの違法捕殺への誘引となっているからだ」と、ミリケンは言う。「アンゴラの流通ルートは、新しく、そして成長しており、ワシントン条約の手の届かないところに存在するため、違法な象牙取引の心配な側面となっている。」
ゾウの保護を支援するため、2004年10月の第13回ワシントン条約締約国会議では、169の締約国が、アフリカの無規制な象牙市場をなくすための行動計画を採択した。
「アンゴラは明らかに他のアフリカ諸国から取り残されてしまっている。ワシントン条約に加盟しておらず、今日も続くアフリカゾウの密猟の誘引となっている違法な市場をなくそうという全大陸的な行動計画に参加していない」と、WWFインターナショナルのアフリカゾウ保護プログラムのリーダーであるPJ・スティーブンソンは言う。
トラフィックの調査によると、アンゴラの首都ルアンダで象牙を扱っている小売業者の4分の3 近くがコンゴ民主共和国からのフランス語を話すコンゴ人であった。また象牙製品の多くが、コンゴ川流域の国々に由来するもののようであった。象牙を用いた美術品のほとんどを、欧米人や中国人の買い付け業者が購入していた。そして、これらの美術品は、どうやらそれぞれの国に違法に輸出されるようだ。こうした事実は、国境を越えた、地域の、そして世界の象牙取引が活動的であることを強調している。
・ レポートダウンロードはこちらから (トラフィックネットワークのサイトへ)。『No Peace for Elephants: Unregulated Domestic Ivory Markets(アンゴラとモザンビークの規制のない国内象牙市場)』 オンラインレポート No.11, TRAFFIC East/Southern Africa, Alistair Pole, Abias Huongo, Tom Milliken
注記
・トラフィックによると、南部アフリカのうち、アンゴラとモザンビークがもっとも大きな違法の象牙市場を持っている。モザンビークで昨年みつかった 3,254の製品のうち、およそ20%が、明らかにワシントン条約に違反して、首都の国際空港の出発ラウンジにある免税品店に置かれていた。しかしながら、トラフィックの要請を受けてモザンビークの行政当局がしかるべく対処した結果、最近の報告によれば、現在、空港に象牙製品は置かれていない。
・アンゴラにおける野生のゾウの個体数は、何十年間も調査されていない。また最近の情報が不足しているため、IUCNのアフリカゾウ・データベース (AED)によるとアンゴラには250頭しかいないとされている。この数値は確実に過小評価だが、正確な調査をおこなうには困難が伴う。一方、AEDのデータによれば、モザンビークについてはアンゴラよりはかなり数値はよく、もし"possible*"で"speculate*"の数を考慮に入れるとすれば、ゾウの個体群は24,400頭ほどだろう。
*AEDのカテゴリー項目。詳細はIUCN発行のAfrican Elephant Database (AED) を参照。
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