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アフリカのセンザンコウの需要急増(CITES取引データが明らかに)

2016年11月10日
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アフリカのセンザンコウの1種、サバンナセンザンコウ
© Wendy Panaino

【マレーシア、ぺタリンジャヤ発 2016年10月28日】

 「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ワシントン条約)」に提出された、38年間分に相当するセンザンコウ取引データの精査は、時とともにターゲットがアジアからアフリカのセンザンコウは大きく移行している、という広く支持されている認識を裏付けるものであった。

 トラフィックの調査員とアデレード大学が1977年から2014年にかけて、センザンコウ809,723頭が対象となった1,485件の取引報告を徹底的に調べ、2000年以降にアフリカのセンザンコウ取引が増加していることを明らかにした。

 調査結果は『センザンコウはどこに行ってしまったのか?センザンコウ種におけるワシントン条約国際取引(Where did all the pangolins go? International CITES trade in pangolin species)』として今週出版された学術誌Global Ecology and Conservation(8:241-253)に掲載された。

 1995年にセンザンコウ全種がワシントン条約附属書Ⅱに掲載されたことで、合法取引は指定の許可書がある場合にのみ可能となった。2000年に締約国が野生で捕獲されたアジアのセンザンコウの輸出割当量をゼロにし、国際商業取引を実質的に禁止するまではアジアのセンザンコウが取引の大多数を占めていた。

 新たな調査報告によると、2001年以降は生存個体、死んだ個体両方を含めた全形センザンコウ取引のうち3分の2がアフリカの種であった。2010年以前はアフリカのセンザンコウのウロコ取引はたったの2件であったが、それ以降は取引全体の79%を占める4,500kgのウロコ取引があったと示されている。2014年の時点でアフリカとアジアの全8種のセンザンコウが取引されたと記録されている。

 近年のアジア内およびアジア-アフリカ間で違法取引として押収された大量のセンザンコウと、ほとんどの種の野生個体の大幅な個体数減少は、先月初めに締約国が全てのセンザンコウの国際商業取引に終止符を打つため、2017年の頭に効力を得ることとなる、ワシントン条約附属書Ⅰに全8種を掲載するよう投票することを促した。

 「この最新の調査結果は国際的におこなわれているセンザンコウ取引の実態を露わにしている」と、トラフィックの東南アジア地域代表であるクリス・シェファード(Chris R. Shepherd)は述べた。「野生個体の過剰な捕獲が引き金となった、今回の全8種の附属書Ⅰ掲載は、各国が違法取引に立ち向かうための基盤となる」。

 分析の中で著者たちは、調査期間全体を通して、量的にも頻度においても米国がセンザンコウとその製品の主な輸入国であったことを明らかにした。

 しかしながら、米国によって報告された2001年以降のセンザンコウの国際取引は、およそ半分が押収されたものであり、著者たちは混乱を避けるため各国は合法取引と違法取引を区別して報告するよう求めた。

 論文は飼育繁殖個体を対象とした取引にも焦点を当て、現在どの国においても商業用としてセンザンコウの繁殖が可能な施設が存在しないため、これらの事例は「不正表示」の可能性があると指摘した。

 2000年以降、輸出割当量をゼロにしたことで、非商業目的でのアジアの種の合法取引は減少したものの、総取引量は依然として多い(2001年から2014年にかけて17,500頭以上のアジアの全形センザンコウが取引された)。これに加え著者たちは、本来ならば許可書の発行がされないはずの野生で捕獲されたアジア種の取引が、割当量ゼロの設定が行われて以降にも15件あったことを確認した。

 著者たちは、近い将来ワシントン条約によりセンザンコウの保護がより厳格に行われるという観点から、センザンコウ全種の取引の綿密な監視を行い、より厳しい施行策をとるよう提言している。また、法施行と保全を効果的に行うため、センザンコウの取引と違法売買に人々を駆り立てている要因に関しても更なる調査を行うよう求めている。

 この調査は、米国国際開発庁(USAID)の資金提供による「野生生物の不正取引に関する分析と対応措置の優先順位設定(Wildlife Trafficking Response, Assessment and Priority Setting:W-TRAPS)プログラム」の支援によって可能となった。

2016年11月10日
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