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アジアにおける野生生物探知犬 役割拡大に向けたセミナー開催

2015年01月07日
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実演で成功したご褒美に白いタオルをもらう探知犬
©TRAFFIC

【中国 広西チワン族自治区、瑞麗発】

 2014年12月、探知犬の活用と訓練に関する世界税関機構(WCO)アジア・大洋州地域税関のセミナーが中国の瑞麗探知犬ベース(Ruili Detector Dog Base)で初開催された。

 トラフィックの協力のもとおこなわれた本セミナーは、アジアで活動する野生生物探知犬の数を増やし、探知犬が探し出す製品の幅を広げるという国際な取り組みの一環であった。

 ロシア、オーストラリア、ニュージーランド、香港、ベトナム、ミャンマー、ラオス、タイ、中国から参加の税関職員40名に加え、WCO事務局の代表、アジア・大洋州の地域情報連絡事務所(Regional Intelligence Liaison Office :RILO)、およびトラフィックが参加した。

 
スーツケースを確認する瑞麗ベース出身の犬
© Wayne Wu / TRAFFIC

 WCO事務局のPierre Bertrand(ピエール・ベルトラン)氏は、EU(欧州連合)加盟国各国で探知犬プログラムを立ち上げるため欧州委員会の計画を含め、世界的に野生生物探知犬の活用が増えていることについて述べた。

 中国の税関職員は、麻薬から爆発物、たばこ、野生生物製品にいたるまで、すべてを探し出せるよう犬を訓練することに関し、歴史、成功例、課題の数々や解決策などについて話をした。広州税関によると2014年、その前年に発足した瑞麗麻薬探知犬ベースとトラフィックの共同計画により訓練された"Jin Kai(ジン・カイ)"という名の犬が、象牙、センザンコウのうろこやサイの角など総計15kgの野生生物の密輸16件を探り当てたとしている。

 現在、サイガの角、トラやヒョウの部位などを含む主要な野生生物製品の摘発に向けた新疆地域での活動を視野に、4頭の犬が野生生物探知犬として瑞麗ベースでトラフィックの支援を受けながら訓練されている。成都税関は、国内で4番目に大きい成都双流国際空港で野生生物探知犬チームを発足させる目的で瑞麗ベースを訪問した。

 このセミナーの中で、手荷物、ハンドバッグ、車の中の虎骨や麻薬を見つけ出す訓練犬の並外れた能力の実証演習がおこなわれた。

 すべての参加国が、探知犬は野生生物犯罪に対抗する画期的な手法だと活用に意欲を示し、実際このセミナーを代表する幾つかの国で探知犬は既に活用されている。

 「東南アジア諸国は、中国の市場における違法な野生生物製品の主要な供給源となっている。探知犬は、違法な取引の検出/防止において税関職員を支えるすばらしい手段である」と、トラフィック中国オフィス代表Zhou Fei(ゾウ・フェイ)は言う。

 瑞麗麻薬探知犬ベースのディレクター、Zhang Weihua(ジャン・ウェイホア)氏は、探知犬の訓練や活用に関しアジア・大洋州地域の国々への支援を表明した。

 瑞麗ベースは中国の税関総署の密輸取締局(Anti-smuggling Bureau)の管轄下におかれ、2013年にWCOにより、アジア・大洋州地域探知犬訓練センターとして指定された。現在、アジアで唯一の野生生物探知犬訓練センターである。

 「トラフィックは2013年に瑞麗ベースで野生生物探知犬の訓練への支援を開始し、野生生物の密売人と戦っている税関や他の執行機関を支援するために、さらなる援助を提供する用意がある」と、トラフィックのプログラム・オフィサーであるXiao Yu(シャオ・ユ)は言う。

 トラフィックの中国での探知犬訓練プログラムは、WWFドイツとクリティカル・エコシステム・パートナーシップ基金(Critical Ecosystem Partnership Fund : CEPF)の惜しみない支援によるものである。

2015年01月07日
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