
![]() 人気のペット、バイヤーは合法的に捕獲された個体であるかを
確認するべきである ©Hartmut Jungius / WWF-Canon
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【英国ケンブリッジ発 2012年12月10日】
ペットを購入する消費者は、販売されている動物が合法的な飼育繁殖個体ではなく、実際は野生で捕獲された違法な個体であるという最近の傾向を知っておく必要がある。
近年トラフィックは、ワシントン条約などの国際的な取締管理から逃れるために「飼育下で繁殖させた」と申告して、野生で捕獲された個体を紛れさせるロンダリング(出所をごまかす行為)の証拠を集めている。
多くの動物種、リクガメ類、淡水ガメ類、鳥類、カエル類、トカゲ類、ヘビ類やいくつかの哺乳類などは、ペットとして人気がある。
例えば、ヨツユビリクガメ Testudo horsfieldii とトゲヤマガメ Heosemys spinosa は、野生では絶滅しており、IUCNレッドリストでは絶滅のおそれのある種として分類されている。
報告によると、野生のヨツユビリクガメのEUの輸入禁止措置の後、40,000以上の飼育繁殖個体のカメが、2000~2006年の間にウクライナからEUに輸出された。禁止前までそのような取引の記録はなかった。
ドイツでは、ミドリニシキヘビ Morelia viridis 119頭を含むペット取引用の委託貨物が、専門家の調査の後、没収された。専門家が、飼育繁殖個体より野生個体によく見られるダニとノミの存在を明らかにしたからである。
先月、オランダの犯罪組織が逮捕されたのは、組織の敷地内で見つかったカメ類と鳥類を含む数百もの動物の出所に対する懸念からだった。
これらの例は、合法的な取引の中に野生捕獲個体を紛れさせるロンダリングがおこなわれていることを示唆している。
トラフィックは、増えつつあるこうした傾向の認知を上げるため、取引データの分析を元に、いくつかの実例を説明したイラスト入りの簡単な冊子を編集した。
ダウンロードはこちらから(英語)→『Captive-bred....or wild-taken?』
この冊子は、消費者が、購入しようとしている動物についてインフォームドチョイス(諸情報を元に選択をすること)をおこなったり、販売業者に適切な質問をしたりする際に役に立つよう配布される。
「今年のクリスマスに、ペットの購入を考えている人は、野生から捕獲された個体であるかどうかをまず、よく考えることが必要です。もし、なんらかの疑いがあるなら、自国のワシントン条約管理当局に問い合わせをしてください」と、トラフィックヨーロッパのプログラムオフィサーであるビッキー・クルークは言う。
ワシントン条約締約国として加盟している各国の政府は、保全に関する規定を適用するために、科学当局と管理当局両方を指定している。各当局の連絡先は、ワシントン条約のウエブサイトで検索することができる。
ワシントン条約ウエブサイト→http://www.cites.org/
日本での連絡先は経産省のウエブサイトより→
http://www.meti.go.jp/policy/external_economy/trade_control/boekikanri/cites/index.htm
「気づかずに野生生物犯罪に加担していた、ペットの購入が自然界の野生動物を絶滅の危機に追い込むのを助長していた、ということに気が付けば、無責任な飼い主はいなくなるでしょう」と、クルークは言う。
「ペットの購入者の関心は、販売している動物が合法的に入手した個体である証拠を示すことを、輸入業者が保証するようになるための強力なインセンティブとなる」
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