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【2010年1月12日 南アフリカ発】
南アフリカの国立公園当局によると、2010年に南アフリカで違法に殺されたサイは333頭であった。この中には国際自然保護連合(IUCN)がCR(近絶滅種)のカテゴリーに分類するクロサイDiceros bicornisも含まれている。
その数は南アフリカがかつて記録した中で最多であり、122頭が殺された2009年から3倍近い増加となった。2011年になってからも6頭が殺されている。
世界的に有名なサファリ・ツアーであるクルーガー国立公園は、146頭を殺されるという最大の被害を被った。この国立公園には、シロサイとクロサイの同国で最も大きな個体群が存在する。南アフリカはおよそ21,000頭のサイの生息地となっており、世界のどの国よりも多い。
アフリカ大陸全土におけるサイの密猟は、ここ数年で急速に増えている。これは、20世紀に保護当局が苦労して達成した、サイの個体数増加の成果を脅かすものである。
最初の密猟増加の兆候は、83頭が犠牲になった2008年に現れた。南アフリカ共和国は法執行の努力を傾け、2010年には162件の密猟を取り締まった。
近年の密猟増加は、アジアの伝統薬の成分として重宝されるサイの角に対する需要の高まりを受けている。最近サイの角にはガンに効き目があると主張する声があるが、それを裏付ける医学的な証拠はない。
「供給サイドと需要サイドの両端における、調和のとれた国際的な取り組みだけがサイの密猟急増という危機の目を摘み取ることができる」とトラフィック イースト/サザンアフリカプログラムのディレクターであるトム・ミリケンは述べる。
南アフリカ政府当局と、近年の密猟増加に深い関わりのあるベトナム政府当局のあいだに連携について、ミリケンは指摘する。
現在の密猟は、ヘリコプター、暗視スコープ、獣医用麻酔と消音器を備え、夜間に法執行機関による警備をかいくぐって密猟する洗練された犯罪ネットワークによるものとなっている。
「南アフリカで活動する犯罪組織は高度に組織されており、先進テクノロジーを用いる。彼らはとてもよく統率されている。これは、伝統的なタイプの密猟とは違う」と、WWFアフリカサイ・プログラムのマネジャーであるジョセフ・オコリは言う。
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