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トラ保護を目指す世界のリーダー達

2010年12月15日
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101124tiger.jpg© Vivek R. Sinha/WWF-Canon

【2010年11月24日 ロシア、サンクトペテルブルク】
 トラの生息国のリーダーらが、世界の野生のトラの個体群を2022年までに2倍に増やすことを目的とするグローバルトラ回復プログラム(Global Tiger Recovery Programme (GTRP))を受諾した。

 一世紀前には10万頭いたとされる野生のトラの推定個体数は現在およそ3,200頭だとされる。

 ひとつの種を守るために、これだけのハイレベルな会合が開催されたのは初めてのことである。トラはかつてないほど生息域が減少しているだけでなく、密猟やトラの部分の取引というさらに切迫した脅威によって脅かされている。

 トラの部分に対する需要は、特に東南アジアやインドにおいて、トラの密猟に油を注いでいる。

   23日にトラフィックのスティーブン・ブロード事務局長は、トラフォーラムに対し、違法取引に関する議題がとりあげられた際に話をした。彼は、最近のトラフィックの調査の結果で、11のトラ生息国においてここ10年の間に少なくとも1,069頭分のトラの部分が違法に取引されていたことを中心に述べた。

 違法なトラの取引に取り組むにあたって、グローバルトラ回復プログラム(Global Tiger Recovery Programme)の成功にとってのカギとなるのは、トラの生息国による法執行努力の有効性や法執行活動についての地域間・国際間の密接な協力関係だろう。トラフォーラムは、ASEAN-WEN (ASEAN野生生物法執行ネットワーク)、SAWEN(南アジア野生生物法執行ネットワーク)や主要なトラ生息国の多国間協定といった二国間や多国間の取り決めを通じての違法なトラ取引に対抗するための地域的な法執行活動の強化を強調した。

 ワシントン条約事務局長ジョン・スキャンロン氏はまた、野生生物の密輸と闘うための新しい共同事業体の正式な設立について発表した。「野生生物犯罪と闘う国際コンソーシアム(The International Consortium on Combating Wildlife Crime (ICCWC、アイクイックと読む))」は、ワシントン条約(CITES)、インターポール(国際刑事警察機構)、国連薬物犯罪事務所(UNODC)、世界銀行、世界税関機構(WCO)という5つのメンバー機関から成る。

 ICCWCの目指すのは、「ICCWCの補完的なスキルを使って、野生生物法執行活動を新しい時代に導くこと」であると、スキャンロン氏は言う。

 GTRPを施行するためのコストは推定で3億5000万米ドル(約294億2,100万円)。すでにフォーラムにおいて、いくつかの政府や機関が、トラの保護のためにかなりの額を拠出することを発表している。

 WWFのジェームス・リープ事務局長は、WWFは次の5年間で8,500万米ドル(約71億4,300万円)を費やすことを目指すと述べた。ワイルドライフ・コンサベーション・ソサエティ(WCS)は次の10年で5,000万米ドル(約42億200万円)を約束し、米国政府は、違法な密猟や密輸と対抗するためトラ保護のために追加的に920万米ドル(約7億7,300万円)を計上、ドイツ政府はロシア、タイ、ラオス、ベトナムのトラ生息域保護のために追加的に1,720万米ドル(約14億4,500万円)を計上するとし、世界銀行は3つのトラ生息国に対し1億米ドル(約54億400万円)の融資を申し出た。23日には、俳優のレオナルド・ディカプリオ氏は野生のトラを保護するWWFの活動を支援するため100万米ドル(約8,400万円)を提供すると発表した。

2010年12月15日
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