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世界野生生物の日(3月3日)

2016年02月10日
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「世界野生生物の日」ロゴ

 1973年3月3日、野生生物の保全のため国際取引を規制するワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約:CITES)が採択された。国連(国際連合)はこれを記念し、また、美しく多種多様な動植物を称賛するとともに近年深刻化しつつある野生生物犯罪と闘うことの重要性が広く認知されるように、2013年に3月3日を「世界野生生物の日」 と定めた。

 2016年「世界野生生物の日」のテーマをワシントン条約事務局は、"The future of wildlife is in our hands(野生生物の未来はあなたの手の中に)"とし、特に象牙を目的とした密猟が止まず、将来が危ぶまれるアフリカゾウおよびアジアゾウにフォーカスして"The future of elephants is in our hands(ゾウの未来はあなたの手の中に)"というテーマも掲げている。

 米国および中国のトップ、香港の政府高官から次々に象牙市場の縮小・閉鎖する意向が示されている中で、合法象牙市場を有する日本の動向は世界から注目されている。しかし、日本国内での野生生物取引への関心はあまり高いとは言えない。

 3月3日の「世界野生生物の日」を中心として、野生生物の現状と私たちの生活とのかかわりについて理解を広めるためのイベントが、様々に開催される。

 WWFジャパンは、2月28日に恩賜上野動物園共催の"サンデー!モーニングZOO 園内ツアー&セミナー"を開催する。その中でトラフィックも「意外と知らない?こんなに身近なワシントン条約」と題し、生きものを守るための国際ルールであるワシントン条約について、そして、その対象となっている動物たちの国際取引の現状について紹介する。

イベント情報 →  https://www.wwf.or.jp/join/action/event/2016/02/post_230.html

 また、横浜市の野毛山動物園では、11回目となる"動物たちのSOS展~守ろう生物多様性~"が開催される(3月1日~31日)。ここでは税関や警察の摘発により園で保護されている爬虫類などを通じて、生息地の保全と密猟や密輸の防止、野生生物を絶滅から守ることが生物多様性を維持することにも繋がる、というメッセージが発信される。様々な活動をしている多数の団体の活動を紹介し、トラフィックもその中でワシントン条約について説明するパネル展示をおこない、その意義を伝えていく。

 生息地の喪失と気候変動、そして密猟の問題は今日野生生物が直面している最も憂慮すべき課題のひとつである。個人であれ、国や組織であれ、わたしたちは果たすべき役割を持っている。この記念日を考える時としたい。野生生物の未来は、わたしたちの手の中にある。


【関連資料】
アフリカゾウの危機についての報告書(日本語翻訳版)
『消えゆくゾウたち-アフリカゾウの危機(Elephants in the Dust-The African Elephant Crisis)』

※2013年国連環境計画(UNEP)は、事態の深刻さを踏まえアフリカゾウの緊急アセスメントを実施し報告書を作成した。報告書作成には、国際自然保護連合(IUCN)、ワシントン条約事務局、およびトラフィックが携わり、ゾウの生息状況から取引の傾向、密猟が起きる要因や保護活動の課題にいたるまで、包括的な内容となっている。


【追加情報】(2016.2.16更新)
経済産業省・環境省共催のイベント
『希少野生動植物種の取引のルールに関する広報・パネル展示・陳列』

イベントの詳細はこちらから → http://www.meti.go.jp/press/2015/02/20160216002/20160216002.html
※トラフィックの活動も紹介されています。

2016年02月10日
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