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トラフィックジャパン発1996年時点での日本のリクガメの輸入量は、世界の輸入量の50%以上を占め、世界最大であった。日本では、特に希少なカメの人気が高く、その需要は希少なカメの種の存続に脅威となる。トラフィックイーストアジアジャパンは、2002年3月のペットショップ調査と輸出入データを分析してレポートをまとめ、消費者に対して慎重な購入を呼びかけている。 |
○市場調査より:
東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、大阪府、京都府、愛知県の計32店を訪問調査した結果、199種の淡水ガメ・リクガメが販売されていた。この数は世界のカメの約65%にあたり、約3分の2が日本の市場で売買されていることを意味する。さらに、このうち68種は当時のワシントン条約の対象種であった。インドホシガメにいたっては250万円もの高値がついていた。
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○ワシントン条約輸出入データより:
ワシントン条約対象種の輸出入量は、経済産業省の年次報告書から把握することができる。これによると、1980年代には年間2,000頭程度の輸入であったが、90年代に入ってから増加を続け、2001年には37,000頭にまで増大した。1981年~2001年までの21年間の累計は約255,000頭に及ぶ。また、税関でのワシントン条約対象種のカメ密輸を摘発した事例が相次いで報告されている。
●浮かび上がった問題点:
日本は、世界のカメ類に関して、有数の最終消費国である。一方、税関における水際規制の施行は十分でなく、違法に国内に持ち込まれたと思われる個体も多い。これは市場での流通量と統計上把握される輸入量の相違から推定されることである。また、国内法(種の保存法や文化財保護法)による保護対象の範囲もせまく、ワシントン条約の決議11.9に対応しきれていない。
■問題解決のための提言:
輸入業者や、国内での飼育繁殖施設をすべて登録制とし、さらに各個体へのマイクロチップ装着を義務化するなどの個体識別措置を講ずることで、輸入・繁殖・流通・小売りの各段階でのモニタリング(監視)の精度を向上させること。ペット業界や消費者に、カメ類保護と持続可能な利用の概念を浸透させ、違法取引の減少につながるしくみを整えること。
●『日本における淡水ガメ・リクガメの市場調査』(個人コピー用pdfファイル:1.47MB)
日本語、トラフィックイーストアジアジャパン作成