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Shelled Out 東南アジアのベッコウ利用を考える

トラフィックネットワーク報道発表 2004年3月15日

Shelled Out 東南アジアのベッコウ利用を考える


【マレーシア・クアラルンプール】「インドネシアとベトナムで、絶滅が危惧されているその土地のタイマイの将来を確保するため、緊急かつ効果的な管理と法の執行が必要とされる。」トラフィックはこのように述べている。

 トラフィックは2001年と2002年に、インドネシアおよびベトナム国内の、過去にべっ甲を日本へ輸出したことが判明している場所を調査した。日本は古くからから続くべっ甲製品の主要需要国である。調査結果によると、べっ甲取引は続いており、インドネシアでは大部分が闇取引になり、管理や法律を執行するうえでの妨げとなっている。ベトナムではウミガメ製品の取引が公然と続いている。2002年中頃にベトナム政府のために実施したトラフィックの調査期間中に、およそ30,000個の品が売り出されていたことが判明した。その規模から、ウミガメの捕獲とウミガメ製品の取引を禁じる法律が新たに制定されたにもかかわらず、これらの法律が取引業者に無視された状態であることがわかる。

 「違法に売買されているべっ甲の正確な量を推測するのは不可能だ。」レポートの執筆に加わった、トラフィックサウスイーストアジアのクリス・シェファードはこう言う。「私たちの調査結果からすると、インドネシアでの傾向は減少している。しかし、これ以上の違法な輸出を防ぎ、在庫として残っているべっ甲の管理を改善するために、インドネシアが国内に貯蔵されている違法なべっ甲をすべて押収することは依然として重要不可欠である。」

 ベトナムでは、ハティン、ホーチミン、ブンタウなど、ウミガメ取引の主要地点で、依然べっ甲製品の生産や販売が公然となれていることが調査によって判明しており、関係する法執行部局はこれら「ホットスポット」をターゲットとすることになる。「次の目標は、ウミガメ保護のためのベトナム政府行動計画を勧告することであろう。」ベトナム担当のトラフィックサウスイーストアジア事務局次長、ジュリー・トムソンは言っている。

 インドネシア、ベトナム両政府が管理と法の執行をさらに進め、違法な取引活動を停止に追い込むことが緊急に必要であると、レポートの結果は示している。さらに、両政府とNGOは地域的な管理のモニターを続け、状況を報告する必要がある。

 政府による主導的な活動をさらに推し進めるために、インドネシアが地域的ウミガメ保護フォーラム(IOSEA)*のメンバーとなり、フォーラム覚書の調印国となることをトラフィックは望んでいる。この覚書は、東南アジアおよびその周辺地域内におけるウミガメ個体群とその生息域の保護・回復を目的としたもので、ベトナムは2001年からIOSEAの調印国となっている。

 2004年3月16日からバンコクで開かれるIOSEA調印国会議では、ウミガメ保護のための政府保護管理プランの実施・進展状況が、調印国から発表される予定である。このプランには、各国がおこなうウミガメの直接的捕獲や国内取引を管理する法の制定などの活動が示されている。

 「加えて、プランは取引に関する情報の管理と共有、違法取引との闘争、ウミガメ製品に関連した活動を実行していくうえでの協力活動を目的とする。」会議に出席予定のトムソンは言う。

 「トラフィックは、ASEANの全加盟国に対してIOSEAウミガメ覚書の批准と各国の保護管理計画に明記されている活動を完全実施するよう迫る。」こう彼女は付け加える。



*IOSEA MoU (The Memorandum of Understanding for Conservation of Marine Turtles and their Habitats in the Indian Ocean and Southeast Asia)
インド洋および東南アジアにおけるウミガメとその生息域保護のための覚書。これは、ASEAN諸国のみならずインド洋全体に渡る、より広い地域での協定を築くために作成された。この覚書の目的は、「ウミガメ個体群とその生息域を保護・保全し、復興・回復させる。」ことである。覚書は各国間の協同活動と「保護管理プラン」の実施を求めており、必要に応じて、ウミガメとウミガメが生きていくのに必要な生息域の保護を促進する法の制定あるいは調査を要求する。「保護管理プラン」には、ウミガメの直接的捕獲と国内取引を禁じる法律を制定する活動が含まれることになっているが、地域コミュニティーによる伝統的な捕獲を認める例外を設ける。第2回IOSEAウミガメ覚書調印国会議が2004年3月16~19日、タイのバンコクにて開催された。



*トラフィック・レポート全文がダウンロードできます。(個人コピー用)

「Shelled Out-A Snapshot of Bekko Trade in Selected Locations in Southeast Asia」 
トラフィック サウスイーストアジア作成(英語)

「Shelled Out 東南アジアのベッコウ利用を考える」(Shelled Out-A Snapshot of Bekko Trade in Selected Locations in Southeast Asiaの日本語版) 
トラフィック サウスイーストアジア作成(トラフィックイーストアジアジャパン訳:日本語)


「The Trade in Marine Turtle Products in Viet Nam. Prepared for the Marine Turtle Conservation and Management Team」
トラフィック サウスイーストアジア インドシナ作成(英語)

◆詳細に関するお問い合わせ

Chris Shepherd, Regional Programme Officer, TRAFFIC Southeast Asia.
Tel: 60-12-234-0890
Julie Thomson, Deputy Director, TRAFFIC Southeast Asia.
Tel: 60-12-234-0890
Maija Sirola, Communications Co-ordinator for TRAFFIC.

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