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TRAFFICの歴史

TRAFFICは1976年にIUCN 種の保存委員会(Species Survival Commission)の中に設けられらた専門家グループとして発足し、 1979年にトラフィックインターナショナルのオフィスとTRAFFIC USAが設立されました。

その後各国にトラフィックのオフィスを設立しました。英国(1980年)、東アフリカ(1980‐82年)、ドイツ(1981年)、日本(1982年)、オーストラリア(1984年)、オランダ(1984年)、ベルギー(1984年)、オーストリア(1986-90年)、イタリア(1986年)、フランス(1987年)、サウスアメリカ地域オフィス(1985年)、トラフィックオセアニア(1987年)、トラフィックヨーロッパ(1990年)、トラフィックサウスイーストアジア(1991年)、トラフィックインド(1991年)、南アフリカ(1992年)台北(1992年)、タンザニア(1992年)、ケニア(1996年)、トラフィックイーストアジア(1994年)、ロシア(1995年)、カナダ(1998年)、トラフィックサウスアメリカ(1999年)、メキシコ(2000年)。トラフィックノースアメリカは1998年にトラフィックノースアメリカ地域オフィスに、 ベトナムオフィスは2001年にインドシナオフィスになりました。

David Lawson / WWF-UK

TRAFFICの歩み

1978年 アザラシ関連商品の取引に関する大規模な調査をおこないました。
1979年 野生のネコ類の皮取引に関する調査がワシントン条約の加盟国会議で活発な議論を呼びました。「野生生物の国際取引」に関する包括的な概要についてまとめ、発表しました。野生生物取引の問題専門の唯一の国際的な定期刊行物『TRAFFIC Bulletin』を発刊。
1983-84年 『TRAFFIC Bulletin』の中で、インドの鳥類、象牙、ヨーロッパのアザラシ類の皮、爬虫類の皮などの取引に関する大規模な調査結果について発表しました。
1986-88年 EUの野生生物取引規制の実情に関して大規模な再調査を実施し、最終的には世界でもっとも包括的な法律のひとつである新たなEUの法律の実現に導きました。
1992年 世界中で起きた象牙の押収事例の記録を把握するための「Bad Ivory Database System(BIDS)」を開発。1994年に「Elephant Trade Information System(ETIS=ゾウ取引情報システム)」となりワシントン条約において採用されました。
1993年 ヨーロッパの薬用植物の取引についての調査結果を発表。野生の植物の個体群および地域の医療システムに対して取引がどのように影響しているかの評価をはじめました。TRAFFICの調査活動の結果、トラの骨283 kg、トラの毛皮8枚、ヒョウの毛皮60枚というインド至上もっとも多くのトラの骨が押収されました。
1994年 トラの取引に関する報告書『Killed for a cure: a review of the worldwide trade in tiger bone』を発行。
1995年 TRAFFICのアンダーカバー調査が奏功し、「オペレーション・チャーム」の一環として、ロンドンにおいて絶滅のおそれのある種の成分の含有をうたう数百の中医薬(漢方薬)をロンドンメトロポリタン警察が押収しました。
1996年 TRAFFICが捜査に協力し、インドで象牙とシャトゥーシュ・ショールが押収。カスピ海産キャビア取引に関する調査結果を発表。その翌年にはすべてのチョウザメ類がワシントン条約の附属書に掲載されました。
1997年 サイの取引を管理する法律について調査し、その結果をワシントン条約に提出。香港の法執行機関が、TRAFFICの通報をもとに、140枚のシャトゥーシュ・ショールを押収。取引業者は、香港の「動植物条例(Animal and Plants Ordinance)」違反で、単独の訴因としては過去最高額の罰金が科されました。
1998年 カナダと米国で使われている薬にトラとサイが成分として含まれているというTRAFFICの調査結果を受けて、米国議会は「サイおよびトラの製品のラベリングに関する法(Rhino and Tiger Product Labelling Act)」を成立させた。TRAFFICの調査の結果、米国では生きた爬虫類の取引が20倍に増えたことが判明。日本ではトラ年に際して「The last 5000」と題したキャンペーンをおこない、国内での法制度の不備について改善を求め、その後の法改正を後押ししました。
1999年 『チベットアンテロープはファッション界に殺される(Fashion Statement Spells Death for Tibetan Antelope)』と題したレポートを発表し、各界有名人がシャトゥーシュ取引禁止の呼びかけに賛同。
2000年 インドで、TRAFFICからの情報提供などを受け、トラの毛皮4枚、ヒョウの毛皮70枚、ブラックバックの毛皮221枚、ヒョウの爪1万8000個が押収されました。
2001年 中国のジャコウジカの飼育に関する調査を実施しました。マジェランアイナメDissostichus eleginoidesとライギョダマシDissostichus mawsoniの漁獲、特に違法・無報告・無規制(IUU)な船舶による漁獲について懸念を提起。
2001年 日本では、水産専門担当者を置き、本格的に漁業・水産業への取り組みを始めました。
2002年 ヨーロッパのスポーツハンティングに関するレポートを発表。スポーツハンティングは、それがおこなわれている国に対してなんらの恩恵ももたらさないことを明らかにしました。WWFとTRAFFICの共同調査から組織的犯罪集団と野生生物の密売人のつながりがあぶりだされました。
2003年 ユキヒョウの生皮の違法取引が憂慮すべき段階にあることをレポート。
2004年 日本で、当時ブームとなりはじめたカブトムシとクワガタムシの、販売状況や法規制に関する調査結果を報告しました。
2006年 第17回国際クマ会議(IBA会議)が開かれるのを機に、日本で「第4回クマの部分の取引についての国際シンポジウム」を開催し、国内外のクマの専門家の情報交換と議論の場を提供しました。
2007年 トラの飼育繁殖に関する本格的なレポートを発表し、取引を合法化することで需要を喚起し、野生のトラの密猟を増やす結果になると報告しました。ワシントン条約の第14回締約国会議において、締約国は取引目的でトラを飼育することを禁じる決定を満場一致で採択、中国に対して大規模な商業的なトラ牧場を段階的に閉鎖していくよう要請。第14回ワシントン条約締約国会議の直前、TRAFFICのETIS(ゾウ取引情報システム)のレポートから、象牙の密猟や組織犯罪との結びつきが憂慮すべきレベルにあると明らかにしました。