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スマトラ島のオランウータンが、違法取引によって大きな打撃を受けている
―依然としてやまないペットとしての取引―

トラフィックネットワーク報道発表 2009年4月23日 
 

© Chris R. Shepherd / TRAFFIC Southeast Asia

【クアラルンプール、マレーシア発】 
 トラフィックの新たな報告書『An assessment of trade in gibbons and orang-utans in Sumatra, Indonesia (インドネシアのスマトラ島におけるテナガザルとスマトラオランウータンの取引状況)』によれば、インドネシアにおける違法取引を取り締まる法律が実効性を欠くために、スマトラオランウータンやテナガザル類の存続が脅かされているという。

 野生生物の保護に対する相当な労力の投入にも関わらず、ペットとしての取引を主目的として捕獲されたスマトラオランウータンの数は、2000年代に入って、1970年代レベルを超えてしまっている。スマトラオランウータンは絶滅危惧種であるにも関わらず、こうしたことが起きている。トラフィックでは、十分な法執行体制を欠いている点が非難されるべきだと考える。

 リハビリテーションセンターに送られたオランウータンとテナガザルの個体数の記録をみれば、どれだけの数が違法に捕獲されているかを推し量る手がかりを得られる。一方、その間も野生下の生息数は減少し続けているのである。最新の推定個体数は、スマトラオランウータンでわずか7,300頭である。

 体重90kg、体長1.5mになるスマトラオランウータンは、成長してペットとして飼うには大きくなりすぎると、リハビリセンターにやってくることになる。しかし、所有者は法的な裁きを受けることがない。

 「飼い主を訴追することなく、オランウータンをリハビリセンターで引き取るだけでは意味をなさない」とトラフィック サウスイースト アジアのディレクター(実務もこなすActing Director)であるクリス・シェファードは述べる。「処罰されずにいれば、こうした犯罪に対する抑止力が働かない。インドネシアには十分な法律が存在する。しかし、厳密な処罰がないために、違法取引は続き、これらの野生生物は絶滅に向けたスパイラルを降りていくことになる」。

 この30年間に、インドネシアで飼い主から押収されたり、飼い主自ら放棄したオランウータンが約2,000頭いるとみられるが、このうち、きちんと訴追された例はひと握りに過ぎない。

 例えば、スマトラ島に新しく開設されたシボランギット・リハビリテーションセンターは、2002年から2008年のあいだに、142頭のスマトラオランウータンを収容した。以前からあるボホロク・リハビリテーションセンターは1995年から2001年のあいだにわずか30頭を受け入れたに過ぎない(リハビリテーションセンターとしての機能は2001年に停止)。そして、ボホロクは 1973年から1979年のあいだに105頭のオランウータンを受け入れていたのであった。

 「最初のリハビリテーションセンターが開設されたときには、オランウータンやテナガザルが押収・保護されると同時に、違法な取引が減少すると期待されたものでした」と、トラフィックのコンサルタントで今回の報告書の執筆者であるヴィンセント・ニジマン(在オックスフォード・ブルックス大学)は言う。「しかし、何百頭ものオランウータンとテナガザル類がリハビリセンターにいて、さらに毎年数十頭もが持ち込まれるという状況があります。インドネシアの法執行の努力不足に対する批判として、こうした数字が浮かび上がってくるのです」。

 今回の報告書には、インドネシアの動物園には、148頭のスマトラ島のテナガザル類と26頭のスマトラオランウータンがいると記述されている。

 「インドネシアでは、オランウータンを保護する法律の執行体制を強化することが極めて重要である。今の状況が続くならば、スマトラオランウータンが絶滅にいたる可能性が十分にありうる」とWWFインターナショナルの野生生物保護プログラムのマネジャーである、ウェンディ・エリオットは語る。

 違法取引の根本的な要因を明らかにし、スマトラ島のオランウータン、テナガザル、その他の野生生物を保護する法律がより効果的に執行されることを、報告書は提案している。

 伐採行為、土地利用の転換、土壌浸食、森林火災といった生息地の減少によってもスマトラ島の野生生物は脅かされている。

 WWFでは、スマトラ島における野生生物の生息地の破壊をくい止める活動をしている。例えば、企業に働きかけて「保護価値の高い森林」を農地に変えたりしないように努力している。地元の住民には自然の資源を持続可能な方法で管理するよう支援し、代替策を提示している。

レポート(英語)のダウンロードはこちらから
『An assessment of trade in gibbons and orang-utans in Sumatra, Indonesia (インドネシアのスマトラ島におけるテナガザルとスマトラオランウータンの取引状況)』

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NOTES

1.『An assessment of trade in gibbons and orang-utans in Sumatra, Indonesia』はスマトラ島におけるテナガザルとオランウータンの取引状況を調べた、トラフィックとしては初めての報告書である。2005年のカリマンタン島における同様の調査に続くものである。

2.インドネシアの国内法によって、違法にオランウータンを所有すると、最高1億インドネシアルピア(9,000米ドル)の罰金と最高5年の懲役刑が科される。

3. オランウータンは、スマトラオランウータンPongo abelii とボルネオオランウータンPongo pygmaeusの2種。

4. スマトラ島にいるテナガザルは、シロテテナガザルHylobates lar、アジルテナガザルHylobates agilis、フクロテナガザルSymphalangus syndactylus

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■ 詳細に関するお問合せ先
TRAFFIC Southeast Asia, Tel: (603) 7880 3940, Email: tsea@po.jaring.my



(2009年4月23日更新)

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