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米国の法規制の不備により
違法取引の脅威にさらされるトラ
―飼育下にあるトラに関するトラフィックの最新報告書から―

トラフィックネットワーク報道発表 2008年8月22日 
 

© Sybille Klenzendorf

【米国、ワシントン発】飼育下におかれているトラに対する米国の法規制には大きな欠陥があり、トラを違法取引の標的にしてしまう可能性がある、とトラフィックとWWF(世界自然保護基金)が、米国全土の飼育トラに対する法規制に関する初めての包括的な報告書を著して、明らかにした。

 報告書『Paper Tigers? : The Role of the U.S. Captive Tiger Population in the Trade in Tiger Parts(トラの部分の取引における飼育トラに対する米国の役割)』は、米国には、飼育トラを追跡する信頼できる規制のしくみがないことを示している。報告書は、現在これらのトラが国際的な闇市場の供給源となっているという証拠を示してはいないが、問題が早急に取り組まれない限り、このような不十分な米国の法規制のもとでは、トラが違法取引にさらされかねない状態になるとしている。

 「トラ保全を促進するリーダーとして、米国には、飼育トラを違法取引のあらゆる危機から守るべく効果的に管理する責任がある」とトラフィック ノースアメリカの担当者であり、報告書の共著者である、リー・ヘンリーは言う。「トラの体の部分が闇市場へ少しでも流れ込むようなことがあれば、トラの取引と消費者需要を刺激し、すでに減少している野生のトラの個体数に深刻な脅威をもたらすおそれがある」。
 
 報告書によれば、米国政府には、何頭のトラが国内で飼育下にあり、どこで飼育されているのか、誰がそれらを所有しているのか、また、トラたちが死んだ時その体の部分はどうなるのか、ということを明確にする手立てがない。動物園で育てられたものを含む飼育トラは、カーニバルでの催し物または広告展示で使用され、保護施設に収容されるものもいれば、個人に所有されているものもいる。少なくない数の州ではトラをペットとして飼っている個人への規制が何もない。最近の推計では野生に生息しているものよりも多い、5,000頭以上ものトラが米国において飼育されていることが示されている。報告書は、飼育下にあるすべてのトラを登録するしくみと、死んだトラの処分を監視する方法を導入することが緊急に求められるとしている。

 米国50州のうち、9つの州ではトラの個人所有になんらの許可も登録も必要がない。15州では許可があれば個人所有可能。個人所有不可としているのは26州/商業目的では、子どものトラには動物ショーへの出演依頼があるのでいいが、成体になると価値が低下し、年間の肉代だけで60万円ほどの維持費がかかり、飼育者に負担となる。つまり“望まれないトラ unwanted Tigers”になる。こうしたトラの行方については把握する方法がない

 米国ではショー出演などの商業需要が大きいが、フロリダでは個体数に過剰感があり、子どものトラの価値は10年前の一頭20万円から2-5万円へと大きく低下した/税関で見つかった違法な漢方薬輸入は01年-06年に計258件あり、63%が中国からきたものであった。米国内には漢方薬需要もある

(以上、囲み内は報告書より)

 トラの個体数は、違法取引のための密猟と、生息地や獲物となる動物が失われたことにより、世界的に急速に減少している。種の存続への主な脅威のひとつが、ファッションやアジアの伝統薬に用いられる骨や毛皮、そのほかの体の部分への世界的規模での需要である。野生に残っているトラは、およそ4,000頭である。

 
   

 野生生物の取引を管理する、CITESと呼ばれる国際条約(ワシントン条約)では、173の加盟国政府が、トラを違法取引から守る施策を実行するための一連の決議を採択している。2000年以来、米国を含む、すべてのワシントン条約加盟国により採択された決議は、飼育トラの体の部分が違法取引に流れ込まないよう、効果的な管理と規制を設けることを促してきた。WWFとトラフィックによれば、米国は飼育トラを包括的に管理するしくみを欠いている、つまりはワシントン条約の決議を履行していない。

 ワシントン条約加盟国はまた、昨年、各国は体の部分を商業取引する目的でトラを繁殖させてはならないことを、全会一致で決定した。報告書は、米国では、トラを、骨やその他の体の部分の取引を目的として大規模には繁殖させてはいないが、連邦政府レベルでも州政府レベルでも規制に欠陥があるために、違法取引への門戸を開いてしまうおそれがあるとしている。

  報告書作成を資金援助した、Save The Tiger Fundの所長である、マヘンドラ・シュレスタは、「米国政府と州政府は、法の抜け穴を悪用される可能性をなくすために、この法規制の脆弱性に取り組み、トラ保全に向けたリーダーシップを示すチャンスである。私たちは、トラが将来にわたって存続するために必要な、あらゆる措置を講じなければならない」と述べる。
 
 WWFとトラフィックは、純血種でない飼育トラを規制から、特に飼育・繁殖されている野生生物の登録システム(Captive-Bred Wildlife Registration system)から免除するという法律の例外措置を米国政府は廃止すること、そして、展示または繁殖させるためのアメリカ農務省免許を持つすべての個人や施設は、飼育、誕生、死亡、移送、または売却されているトラの頭数を毎年報告すべきこと、などを提言している。

英文の報告書はこちらからダウンロードできます。
『Paper Tigers?: The Role of the U.S. Captive Tiger Population in the Trade in Tiger Parts』

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■ 詳細に関するお問合せ先
Richard Thomas, Communications Co-ordinator, TRAFFIC, tel: + 44 1223 279068, m + 44 77434 82960, e-mail: richard.thomas@traffic.org



(2008年8月22日更新)

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