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ロシアとモンゴルにおける、ジャコウジカの密猟と保護の問題

トラフィックネットワーク報道発表 2004年7月15日


Siberian Musk Deer Moschus moschiferus
Siberian Musk Deer Moschus moschiferus
© Richard P Reading

ロシアとモンゴルのいくつかの場所において、ジャコウジカの個体群は急速に減少しつつある。合法的な狩猟や取引を規制・管理するために種の保存に関わる法律があるにもかかわらず、高い価値のある麝香嚢(じゃこうのう)*、すなわち高い価値のあるアジアの伝統薬の取引のために密猟が後を絶たないからである。野生生物取引をモニタリングするトラフィックと WWF とが本日発表したレポートによれば、ロシアにおいて、殺されたジャコウジカの 80 %あまりが密猟であるとされ、麝香(じゃこう)の違法取引は、 2000 年代初頭の合法な取引のおよそ 5 倍になっていると推定されている。

 トラフィックヨーロッパのレポート『 No Licence To Kill: The population and harvest of musk deer and trade in musk in the Russian Federation and Mongolia (ロシア連邦およびモンゴルにおける麝香(じゃこう)取引と、ジャコウジカの個体数と捕獲について)』では、ロシアのアルタイ−サヤン地方において、ジャコウジカの個体群密度が低くなっていることが報告されており、 1970 年〜 1980 年代における個体数のわずか 4 分の 1 から 5 分の 1 のレベルにまで減っていると言及されている。これは主として密猟の結果である。

 本レポートの編集者であるトラフィックヨーロッパの Volker Homes は次のように語っている。「このような規模での密猟は、ジャコウジカの個体群が今後どのくらいの間それに耐えられるかという問いを投げかけるだけではなく、明らかな法執行の問題を浮き彫りにしている。」

 大量の麝香(じゃこう)は、中国あるいは東アジアの他の地域へと送られ、そのほとんどは伝統薬に使われる。そこでトラフィックと WWF では、ロシアとモンゴルに、それぞれこの問題に対して有効な施行を強化するように働きかけており、同時に中国に対しては、違法な越境貿易の取り締まりにおいて、ロシア、モンゴルとより近い協力関係を築くように呼びかけている。


Siberian Musk Deer Moschus moschiferus
c Volker Homes / TRAFFIC Europe

 1999 〜 2000 年の間に、ロシアのジャコウジカから取った 400 〜 450kg もの麝香(じゃこう)が毎年違法に取引されていたと本レポートは見積もっており、これは雄のジャコウジカが 17,000 〜 20,000 頭は殺されたことに相当する。 Homes によれば、この数字は毎年合法的に取引されている量のおよそ 5 倍にあたるとのことであり、彼は次のように語っている。「ロシア連邦には、ジャコウジカに関して法的に許可した狩猟の割当量があるが、経済的な観点も含めて、ハンターにとって合法的におこなう誘因はほとんどない。そのため、違法におこなうことを選んでしまっている。」

 隣のモンゴルでの状況も、まさに悲惨なものである。実際にはモンゴルにおいて 1953 年からジャコウジカの狩猟は違法となったにもかかわらず、 1996 年から 2001 年の間に毎年少なくとも平均 2000 頭近いオスのジャコウジカが密猟された。ロシアと同様に、モンゴルにおけるジャコウジカの密猟は深刻な施行の問題を示している。

 本レポートは、ジャコウジカが違法に取引されている国々においては、法の施行策と取引規制がさらに強化されるべきであることを指摘している。同様に、これらの国々は、法の施行の問題においてより密接に協力するだけでなく、ジャコウジカに関する個体群データ、割当量、取引や押収量などの情報を交換できるシステムを作り上げることも必要だと述べている。さらに、中国、ロシア、モンゴル、またその他のジャコウジカにかかわる国々と消費国などが参加して、密猟禁止と越境貿易とに焦点をあてた国際的な法施行や研修会が計画されるべきだとしている。また、合法な麝香(じゃこう)製品を容易に識別できるよう、麝香(じゃこう)にマーキングを実施することや麝香(じゃこう)製品のラベリングも求めている。

 「グラム単位でいっても、動物界の中で麝香(じゃこう)はもっとも価値の高い自然の産物のひとつであり、同量の金の 3 倍もの価値となりうる。ジャコウジカの保護策に投資することは、商業と保全の両側面において意味がある」と、 WWF-UK の種保全プログラムの責任者である Stuart Chapman は述べている。

*訳注:麝香(じゃこう)は偶蹄目ジャコウジカ科ジャコウジカ属の成熟したオスの分泌腺から採取される。オスの腹部には巾着のような袋があり(麝香嚢)、そのなかに分泌物が含まれている。

※トラフィックレポート全文がダウンロードできます。(個人コピー用)
No Licence To Kill: The population and harvest of musk deer and trade in musk in the Russian Federation and Mongolia .トラフィックヨーロッパ作成

◆詳細に関するお問い合わせ

Volker Homes, Species Conservation Section, TRAFFIC Europe-Germany and WWF Germany on +49 (0)69 79144-183, email: homes@wwf.de
Maija Sirola, Communications Co-ordinator TRAFFIC on +441223277427, email: maija.sirola@trafficint.org

(2004年8月20日更新)

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