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2001. 8.14
密漁でマジェランアイナメ(メロ)が危ない!!

密漁がマジェランアイナメ(流通名メロ)を脅かし続けている


2001年8月14日、オーストラリア、シドニー発  銀ムツまたはメロとして流通しているマジェランアイナメ*1Dissostichus eleginoidesを目的とした非常に商業性の高い漁業は、南極海に集中しているが、その未来は近年の増加する違法・無規制・無報告漁業(IUU漁業)によって影響を受けている。8月14日にトラフィックによって発表された報告書によれば、南極海洋生物資源保存委員会(CCAMLR*2)によるこの生物種の保護と運営の動きの有効性は、IUU漁業によって著しく引き下げられている。

「トラフィックによれば、少なく見積もっても、昨年取引されたメロの半分はIUU漁業によるものである。これはCCAMLRによるIUU漁業での推定漁獲量の4倍に当たる。」トラフィックオセアニアのディレクターで、トラフィックの報告書「メロ:保護策と取引対策は機能しているか?」の著者の一人でもあるグレン・サント氏は述べている。

その報告書によると、1997年にIUU漁業による危機が公式に認められて以来、CCAMLRはこの問題に取り組むため多くの対策を導入してきた。その中には一種の人工衛星自動追尾システム、IUU漁業に携わった漁船のブラックリスト作成、そして2000年5月に導入された、メロの国際取引をモニターするためのメロ漁獲証明制度(CDS)も含まれている。漁獲証明書は、特に今後の実際の取引データの有効性に大きな影響力を発揮するであろうと期待されている。

「しかしながら、明らかに今までの対策は昨年のIUU漁業を食い止めることができなかったし、問題が継続していることは、2001年にすでにIUU漁船と推定されるSouth Tomi号が、オーストラリア当局の6,100kmに及ぶ追跡の末に逮捕されたことからも明らかである。この魚の資源にIUU漁業が与える脅威をなくすには、より多くの方策が必要となる。メロの取引に係わるすべての国が、CCAMLRが行おうとしているIUU漁業の撲滅のために、より一層の協力を示す必要がある。」とサント氏は述べている。

メロは日本およびアメリカのレストランで高い値段がついており、これら2カ国はカナダとヨーロッパを押さえて最大の消費国である。2000年には、これら2カ国であわせて約3万トンのメロを主に冷凍で輸入している。これは世界の推定取引量の90%以上に相当する。CCAMLRの締結国*にその主要な漁業国が含まれており、その漁獲量はチリ(26%)、アルゼンチン(23%)、フランス(16%)、オーストラリア(11%)、イギリス(9%)、および南アフリカ共和国(5%)であり、これらの国がメロ製品の70%以上を市場に提供している。

 報告書では近年11カ国がIUU漁業に従事していることが示されている。この中には漁獲が非合法かどうかを確認せずに水揚げする国も含まれ、またIUU漁業に従事する自国の人々に対して対策を講じようとしない国もある。特に問題なのは、他国漁船の船籍を自国の旗で操業させるために登録させるが、その船(便宜置籍船)の責任をまったく負わない国である。モーリシャスは1999年から2000年にかけてのIUU漁業のメロの一次水揚げの最大基地であった。本報告ではまたIUU漁業が最も激しく行われている4つの海域をあきらかにした(南アフリカ領プリンスエドワード諸島、フランス領のクロゼ諸島とケルゲレン諸島、オーストラリア領のハード島とマクドナルド島)。

 


貿易情報は不明確さで特徴づけられる

メロには取引情報に関して不明な点が多くあると考えられ、入手できるデータの解析を困難にしている。メロに対して特定の取引品目コードがなく、再輸出の際に重複集計してしまう可能性があり、一部の取引データは解釈が難しくなっている。メロはいろいろな名前で取引されていて、貿易データの精度を上げるのを難しくしている。例えばチリではバカラオ・デ・プロフンディダド(深海タラ)、モーリシャスではバターフィッシュ、アメリカとカナダではチリ・シーバスである。

「メロの漁獲総量にはまだ不明な点もあるが、確かな点は現在の対策はメロ資源の保護を保証したり、この魚種のIUU漁業を確実に減らしたりするには役立ってこなかったということだ。」と、サント氏は述べている。

報告書は、メロ漁獲国が、現在の漁獲水準の査定に全漁獲と資源量の不確実性を考慮に入れて、今後の漁獲に予防原則を適応することを奨励している。また、ワシントン条約のような他の条約の下で履行される補助的な機能の役割についても考えるべきである。

「メロ漁獲証明制度の導入はCCAMLRの非常にはっきりとした成果だが、満足のいくものではないことをこのレポートは示している。単一の対策ではIUU漁業に対処することはできない。その代わりに、すべての可能性のある方策を当たってメロ漁業を効果的に管理しなければ、高い需要と高価格が引き続き違法漁業を誘発し、メロ資源が長期にわたって枯渇する状態を招くだろう。」と、サント氏は述べている。

*1 マジェランアイナメは、南極海の島嶼域周辺、チリやアルゼンチンのパタゴニア海域の陸棚から陸棚斜面に生息する大型魚類である。成長は遅く、成熟する70-90cmに達するまでに6−9年かかる。最大で2mになり50年以上の寿命がある。(Kock,2000) なお、日本国内ではメロは近縁種のライギョダマシD. mausoniにも用いられる(日本水産物輸入協会(編),2000.商用魚介名ハンドブック)

*2 CCAMLR締約国 : アルゼンチン、オーストラリア、ベルギー、ブラジル、チリ、ヨーロッパ共同体、フランス、ドイツ、インド、イタリア、日本、韓国、ナミビア、ニュージーランド、ノルウェー、ポーランド、ロシア、南アフリカ、スペイン、スウェーデン、イギリス、ウクライナ、アメリカ、ウルグアイである。

 メロおよびその製品の電子画像はトラフィックインターナショナルに申し込んでください。
 本件の問い合わせはGlenn Stant: gstant@traffico.orgへ。
 レポートのPDFファイルは、以下からダウンロードできsます。

 http://www.traffic.org/patagonian toothfish

 

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