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2006年7月18日 トラフィックネットワークNEWS

野生生物の密輸容疑でバンコクの高級品店が家宅捜索- ASEAN-WENからの情報にもとづいた潜入おとり捜査 -


ivory carvings
シャトゥーシュのショール
© TRAFFIC East Asia


【タイ、バンコク】
 絶滅のおそれがきわめて高いチベットアンテロープ(チルー)の製品を密輸した容疑でバンコクのダウンタウンの3ヵ所に対し7月17日に一斉捜索がおこなわれ、タイ当局は野生生物関連のその後の捜査を続けている。警察は事情聴取のため4人のディーラーを拘束し、「シャトゥーシュ」とされる250枚以上のショールを押収した。これらは1枚1,200〜1万2,000ドルの値がつくだろう。

 17日の捜索は、タイ警察の自然資源と環境犯罪抑制部門(Natural Resources and Environmental Crimes Suppression Division of the Royal Thai Police)とthe Department of National Parks, Wildlife and Plant Conservationによる4ヵ月にわたる合同潜入捜査の結果であった。新しいASEAN野生生物執行ネットワーク(ASEAN Wildlife Enforcement Network (ASEAN-WEN))内からの情報を受けた後、タイの担当官が、少なくとも3ヵ国におよぶ多数の締約国を巻き込んだシャトゥーシュを扱う犯罪組織に潜入した。

 捜索の対象となった店は、バンコクでも高級店が並ぶ商業地域に位置し、ヨーロッパや日本からの裕福な観光客のための店で、高価な織物の違法な市場であることが浮き彫りになった。

 タイ当局は、押収したショールの真贋を確認するための検査の結果を待っている。警察の4人に対する取調べ中に関係があるとわかった他のシャトゥーシュの密売人に対する捜査を続けている。偽ってシャトゥーシュを販売しているディーラーでも、詐欺の罪で起訴される。

 この捜査で、タイ当局による疑わしいシャトゥーシュの押収をはじめておこなった。タイ当局は最近、違法な野生生物取引に対する取り組みを強化している。この国境を越えた、機関間の捜査はまた、アジアの野生動植物の多くをだめにする犯罪組織と闘うにあたって戦略を大胆にシフトしたことを反映している。これらの高度に組織化された犯罪に対抗するために、タイや東南アジアの近隣諸国は昨年12月、ASEAN-WENを立ち上げた。ASEAN-WENは、世界でもっとも新しく、もっとも大規模な野生生物法執行ネットワークである。

 ASEAN-WENはアジアの野生生物を保護するため、ASEAN諸国内でおこなわれる野生生物犯罪に関係する警察、税関、環境関連機関の間の情報交換を手助けする。

 「国際的かつ機関同士の協力は、このおとり捜査成功のカギであった」とトラフィックサウスイーストアジアのジェームズ・コンプトンは言う。「これは新しいASEAN-WENの価値を証明している。タイ当局のこれらの包括的な活動は喜ぶべきことである。」

 刈り取ったり、すきとったりして収獲されるほかの毛織物と異なり、シャトゥーシュはチベットアンテロープ(チルー)Pantholops hodgsonii を殺すことによって得られる。チベットアンテロープは、人里離れた青海チベット高原などにしか生息していない。また、1枚のショールをつくるのに、3〜5頭の死んだチベットアンテロープの毛が必要である。

 1979年以来、チベットアンテロープはワシントン条約の附属書 I に掲載され、シャトゥーシュのすべての取引は禁止されている。2006年の国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストでは、チベットアンテロープを絶滅危惧種(EN)として分類している。

 違法であるにもかかわらず、シャトゥーシュ(ペルシャ語で「ウールの王様」という意)は、その格別な質のよさからいまだ人気が高い。シャトゥーシュのショールは、闇市場では12,000ドルの値段になることもある。このファッションの熱狂ぶりによって引き起こされる密猟は、チベットアンテロープの個体数を激減させる。1900年に、100万頭のチベットアンテロープが野生に生息していたが、今日ではわずか50,000頭ほどだろう。

 国際捜査の詳細のほとんどは、当局によって明らかにされないが、このおとり捜査に近いタイの担当官は、通報はASEAN-WEN内から来て、それは多くの機関の間で共有される情報を含んでいたと報告する。

 「このレベルでの野生生物に関する連携した法執行は、東南アジアの新しい現象である」とWildAid-タイの現場捜査の指揮官(Director of Field Operation)のスティーブン・ガルスターは言う。「野生生物の密売人は、ASEAN-WENが見ているということおぼえておくべきです。」

 

◆詳細に関するお問い合わせ

Tassanee Vejpongsa
WildAid-Thailand (Peuan Pa)
Tel: +66-2-204-2719
Email: tassanee.v@gmail.com

Loretta Ann Soosayraj
TRAFFIC Southeast Asia
Tel: +60-3-7880-3940
Email: loretta.soosayraj@gmail.com

 

注釈

  • 昔は、狩猟者だけが雄のチベットアンテロープを殺していた。現在では、組織的な密猟団が、妊娠したチベットアンテロープを含む、群れ全体を皆殺しにしていることが知られている。
  • 取引ルートはチベット高原からはじまる。毛はカシミールに密輸される。そこはシャトゥーシュ織物の長い歴史がある場所である。そして仕上がったショールは、米国やヨーロッパ、アジアの主要な都市で不正に販売される。
  • シャトゥーシュの闇市場は、違法な野生生物取引に取り組む難しさを浮き彫りにしている。保護のためのキャンペーン活動や厳しい法律、注目を浴びる犯罪事件にもかかわらず、超高品質の毛への欲求や、それゆえの密猟は根強い。昨年、スイスの担当官が537枚のシャトゥーシュ・ショールを押収したが、これは1,600〜2,700頭の死を示唆している。また、シャトゥーシュの密売人は、地域によっては執行活動が改善されているため密輸ルートを変更しているようだ。
  • パシュミナなどの、シャトゥーシュの代替品はよく知られている。これはヒマラヤ地方の家畜のヤギから刈られたものから作られる。

 

(2006年8月15日更新)

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