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2008年5月14日

中国と東南アジアでセンザンコウの違法取引相次いで発覚


ivory carvings
ベトナムで押収されたセンザンコウ© Viet Nam Customs


 最近、センザンコウ類Manis が中国や東南アジアで相次いで押収されている。トラフィックネットワークが集めた各国の情報からみると、船で輸送中のトン単位の大規模なものからトラックで輸送中の十数頭など、状況はさまざまであるが、東南アジアから消費地である中国などに運ばれる途中で押収される事例が目立つ。

 センザンコウ類として知られているのは有鱗目センザンコウ科のセンザンコウ属に属する8種である。全身を覆っているうろこが特徴的で、アリやシロアリを食べるため長い舌を持つ。インドから東南アジアにかけてアジア地域に生息しているのがミミセンザンコウManis pentadactyla、インドセンザンコウM. crassicaudata、マレーセンザンコウM. javanicaM. culionensis で、アフリカ大陸に生息するのがキノボリセンザンコウM. tricuspis、オオセンザンコウM. gigantea、サバンナセンザンコウM. temmincki、オナガセンザンコウM. tetradactylaである。2007IUCNレッドリストの中でキノボリセンザンコウ、オオセンザンコウ、オナガセンザンコウの3種はLR(lc)(低危険種)*、M. culionensis以外の4種がLR(nt)(近危急種)*に分類されている。
(*IUCNレッドリストの旧カテゴリーによる1994年の評価結果。2007年のレッドリストでもこの結果を用いている。その後、生息状況が変わっている可能性があり、今後の評価の更新が期待される。M. culionensis については、最近までM. javanica の亜種とされていた。)

 
 
©Sandrine Pantel

 センザンコウ類の肉は食用に、うろこは中国などで伝統薬の原料に、皮は皮製品に利用される。人間による狩猟・密猟がこの種の存続に対する主な脅威となっている。1975〜76年にはワシントン条約の附属書IIまたはIII に掲載されたが(サバンナセンザンコウは附属書 I )、その後95年にセンザンコウ属全種が附属書 II に移行され、センザンコウ類すべての国際取引が規制されるようになり現在に至る。野生から採取され、主として商業的目的で取引されるインドセンザンコウ、マレーセンザンコウおよびミミセンザンコウ、M. culionensis については、毎年ゼロの輸出割当が設定されており、輸出入は認められていないことになる。


 最近のセンザンコウ類の、各国メディアから集めた押収事例をいくつか紹介する。
 ( はトラフィックネットワークのページへのリンク)

  • 中国:2008年4月、広西省の防城港から江西省に向かう輸送中の18頭が押収された。
  • マレーシア:2008年4月、Kepala BatasのKampung Kubang Menerungにある倉庫などの一連の捜索で98頭が押収された。
  • 中国:2008年4月に報じられたところによると、北京、鎮江、山東、広東など向けのオオトカゲ類やオオサンショウウオ類、クマの掌とともに76頭が押収された。
  • ベトナム:2008年3月、ベトナムのハイフォン港でインドネシアから中国に向かう途中だった船の中から16 tがみつかった。
  • 中国:2008年3月(報道)、生きている29頭と死んだ62頭が曲靖で押収された。
  • タイ:2008年3月、ソンクラのRattaphum districtのPhet Kasem Roadにおいて113頭が押収された。
  • ベトナム:2008年2月、ベトナムのハイフォン港でインドネシアからの船荷から7tのセンザンコウの死体とうろこが押収された。
  • 中国:2008年2月、広州から上海に向け輸送中の60頭が押収された。
  • 中国:2008年1月、Luxi森林警察がミャンマーから密輸された生きている19頭を押収した。
  • タイ:2008年1月、ラオス国境近くのTambon Nam KhamのKhub Pung村でトラなどと一緒に275頭が押収。ラオス向けの船に積まれるところであった。
  • 中国:2008年1月、広州の森林警察によって生きている16頭を含む53頭が押収された。
  • タイ:2007年11月、タイ税関はラオスから中国南西部に密輸された100頭以上を押収した。
  • タイ:2007年10月、Chumphonの警察がノンカイに向かう車の中から130頭を押収した。

 中国では、2005年9月から2006年5月に2,849頭と68tのセンザンコウの肉と900kgのうろこなどを密輸した2人に執行猶予付き死刑判決が下った事例がある。 


 
 
センザンコウの皮のブーツ
©James Compton/TRAFFIC SEA

 日本の合法的な輸入を示す、ワシントン条約掲載種の輸出入記録(UNEP-WCMC CITES trade database)によればセンザンコウ属の輸入については、1980年代に皮や皮革製品を輸入していたが、90年代に入る頃には輸入は大幅に減少した。2001〜2005年の5年間では、80年代のような大量の革製品の輸入はほとんどない。一方中国を見ると、これほどの密輸が押収されているにもかかわらず、正規の輸入の記録は少ない。1994年と1996年にそれぞれ 2t と 5.6t のうろこと、1999年に2 t の皮の輸入があった。

 アジア産のセンザンコウ類は現在輸出割当がゼロに設定されているため、原産国からの商業的な輸出はないはずである。にもかかわらず東南アジアで押収される数がもっとも多い哺乳類としてセンザンコウがあげられる。このような状況を踏まえ、トラフィックは今年7月頃にシンガポールにおいて国際ワークショップを開催する。「南・東南アジアを原産とするセンザンコウの取引と保護(仮)」と題したワークショップでは、原産国と消費国から、政府関係者をはじめNGOや研究者など関係者を一同に集め、センザンコウの違法取引をめぐる問題などについて話し合われる。


■参考資料
トラフィックネットワークウエブサイト(Latest seizure & Other reports)
IUCN 2007. 2007 IUCN Red List of Threatened Species. <www.iucnredlist.org>. Downloaded on 12 May 2008.


(2008年5月14日更新)

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