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2006年10月30日 NEWS

開催報告: 第4回クマの部分の取引に関する国際シンポジウム


 
 
万平ホテルでのシンポジウムの様子© TRAFFIC East Asia-Japan

 2006 年 10月 4日に長野県軽井沢でおこなわれた今回のシンポジウムには、アジア地域におけるクマの部分の取引に関心のある研究者やNGO、行政担当者、学生、マスコミ関係者が集まった。参加者数は70名を超え、事前の予想を上回る盛況ぶりであった。

 同時期に開かれていた第 17回国際クマ会議では、クマの部分(胆のう、掌、肉、毛皮など)を目当てにした狩猟が行われ、中国などの市場に流れている現状についてのアジア各国からの報告が相次ぎ、関心が高まり、重要な議題になりうる予感があったが、その予測どおり海外からの参加者が多数詰めかけ、熱い議論が繰り広げられた。

 このトラフィックイーストアジア主催のシンポジウムでは、まず7人の講演者から、アジア各地における取引の現状報告がおこなわれた。講演者は、それぞれ、日本、インド、ミャンマー、ベトナムなどの事情に触れた。それら講演では、ミャンマーのケーススタディに代表されるとおり、国内で密猟されたクマから採られたクマの部分(特に、胆のう、胆汁)が、隣国との国境付近という政府の監視の目が及びにくい場所で取引されるケースが多いことが指摘された。ミャンマーでは、ほとんどの買い手はタイ人や中国人であることや、狩猟だけでなく、取引もまた違法であり、ミャンマーの国内法とワシントン条約の両方に違反するものだということが報告された。

 会場からは、インドやスリランカのようにクマ類の保護に力を入れ始めた国が出てきている一方で、残念ながら、東南アジアのインドネシアやマレーシアのように政府レベルでほとんど関心のない国々が多い、という事態をなんとかしなくてはならないとの声があがった。こうした国々では、トラやゾウなどの野生生物には関心が高いものの、クマ類は後回しになっている様子が伝えられた。

 また、各講演においては、アジア諸国では、クマの部分(胆のう、肉、掌、毛皮など)への根強い需要があり、引き続き大規模な狩猟にさらされる懸念があることが述べられた。相対的に日本よりも、その他のアジア各国の方が深刻な様子であった。これを受けて、東南アジア各国から中国に輸出されるケースが多いにもかかわらず、信頼するに足る正確なデータが中国政府から提供されないことに、会場から不満の声もあがった。ほかにも、クマをダンスさせて観客を喜ばせるエンターテイメント(インド)、経営モラルの低いクマ牧場(中国)などの問題解決を求める声もあった。

 
 
ディスカッションの様子
© TRAFFIC East Asia-Japan

 そこで、トラフィックサウスイーストアジアのクリス・シェファードから、政府、NGO、大学、ボランティアなどを巻き込んだ情報交換の仕組みを構築することが提案され、これを会場に呼びかけたところ、半数以上の参加者から手が上がった。つまり、各国で今何が起きているのかをリアルタイムで知るためのネットワーク作りをサポートしようと意思表示されたのだ。この提案は、 ウミガメが、かつてはあまり注目をあびない野生生物であったときに、同様の試みをしたところ、うまく機能し、各国でウミガメが保護対象種として認知されるようになったという成功事例がもとになっている。

 また、参加者の中から、今回の議論が生物学的な視点に終始しており、なぜクマへの需要が根強く存在するのかという歴史的・文化的視点からの言及がほどんどなく、バランスを欠いているという指摘もあった。奥山といういわば神の存在を感じさせる場所からの恵みとして、クマと向かい合う文化が日本にはあった、そのことが忘れ去られようとしていることへの疑問も呈された。

 アジア地域でクマの保護活動に携わる人たちによるメーリングリストという情報交換の仕組み以外にも、例えば以下のような提案が、講演者や会場の人たちから寄せられた。

  • オンラインで各種資料(ドキュメントやビジュアルマップなど)にアクセスできるようにする。
  • これらのことは、基本言語として英語が想定されているものの、途上国においては、現地の言語で、ペーパーでも入手できるようにする必要性もある。また、専門家だけではなく、より幅広い層の人たちが参加できるようなネット上の情報交換の仕組みにすべきである。
  • 東南アジアにおけるクマの部分の取引が、クマの個体数に影響していないかどうか、追跡調査できるようにする。
  • クマの胆のうや胆汁を含む野生のクマの取引を減らすべく、国際的な協定が結ばれるようにすべきだとの提案もあった。

 これらシンポジウムで話し合われた内容は、いずれ議事録という形でまとめられ、配布されることを通じて、トラフィックを通じて各国のステークホルダーに伝えられる。


(2006年10月30日更新)

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