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決議 11.10 * 石サンゴ類の取引

*第12回、第14回および第15回締約国会議で改正。

水槽飼育用標本および飾り物として、石サンゴ類(ヘリオポラケア目Helioporacea、アナサンゴモドキ目Milleporina、イシサンゴ目Scleractinia、根生目Stolonifera、サンゴモドキ目Stylasterina)の国際取引が行われていることを意識し、

サンゴ岩、破片、砂その他のサンゴ製品が取引されていることもまた認識し、

サンゴのユニークな性質、すなわち骨格が残り、時の経過につれて石化する場合があること、それがサンゴ礁の土台であること、そして、侵食後にサンゴの断片が鉱物および沈殿物の一部を形成する場合があることに留意し、

サンゴ岩は生きたサンゴが付着する重要な基底の役割を果たすことがあり、岩の除去がサンゴ礁の生態系に有害な影響を及ぼす場合があることにも留意し、

だが、サンゴ岩はイシサンゴ目に属するという以外には即座に識別できず、したがって、条約第4条2(a)項に基づく害を与えないという判断を容易に適用できないことを意識し、

第4条3項により、附属書IIの種が生態系で果たす役割に合った水準を維持しているかどうかを査定するために、各種の標本の輸出の監視が必要であることに留意し、

サンゴの採取が、採取が行なわれた生態系に与える影響を、CITES第4条3項に従い評価することは、輸出の監視のみでは十分行えないことに留意し、

サンゴ片並びにサンゴ砂は即座に認識できないことを受容し、

標準学名法の欠如および非専門家のための包括的かつ利用しやすい識別ガイドの欠如が原因で、生きたまたは死んだサンゴを種のレベルまで識別することが難しい場合が頻繁にあることも認識し、

化石化した石サンゴ類は条約の規定の対象ではないことを認識し、

サンゴの取引に関する条約の規定の適用並びに執行が難しかったことに留意し、

条約締約国会議は

この決議の付記に規定されたサンゴ砂、サンゴ片、サンゴ岩、生きたサンゴ、死んだサンゴの定義を採用することを採択する。

締約国は、サンゴの輸出を許可するにあたり、CITES第4条3項の実施を、従来よりもはるかに重視し、かつ輸出のみの監視に頼らずに、生態系的なアプローチの原則並びに実施を採用するよう勧告する。

次のとおりに促す。

a) 関連締約国および生息国並びに消費国の他の組織は、取引されるサンゴ並びにサンゴ岩を認識するための利用しやすい実用的なガイドを優先事項として作成し、それらを適切な媒体を通じ、締約国が広く入手可能とするために協力かつ支援し、事務局はそれを調整する。

b) 締約国はサンゴ礁生態系の保全並びに持続的な利用のために他の多国間環境協定並びに構想との相乗効果を追求する。■


付記 定義

サンゴ砂-全部または一部が直径2 mmを超えない死んだサンゴの微粉砕断片で構成される物質。有孔虫および貝並びに甲殻類の殻の残骸、サンゴモなどを含むことがある。属までの識別は不可能。

サンゴ片(砂利並びに石を含む)-任意の方向を測ると2 mmから30mmの折れた指状の死んだサンゴその他の物質で構成される未固結断片。属までの識別は不可能。

サンゴ岩1(およびライブロック並びに基底)-死んだサンゴの断片から成る直径が3cmより大きく硬い固結物質で、接着した砂、サンゴモ、他の堆積岩を含むことがある。「ライブロック」は、条約附属書に掲げられていない無脊椎動物種並びにサンゴモの生きた標本が付着し、水に入れずに湿った状態でクレート梱包輸送されるサンゴ岩を指す用語である。「基底」は無脊椎動物(CITES附属書に 掲げられていない種の)が付着し、生きたサンゴのように水に入れて輸送されるサンゴ岩を指す用語である。サンゴ岩は、属のレベルでは識別不可能だが、目のレベルまでは識別が可能である。死んだサンゴと定義される標本はこの定義には入らない。

死んだサンゴ-輸出される時点で死んでいるが、採取した時点では生きていた可能性があり、サンゴ石(個々のポリプの骨格)の構造はまだ損なわれていないサンゴ。したがって、種のレベルまたは属のレベルまでの識別が可能である。

生きたサンゴ-水に入れて輸送され、種または属のレベルまでの識別が可能な生きたサンゴ。   ■

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1 サンゴを含まないか、またはサンゴが化石化した岩は条約の規定の対象にはならない。

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